2008年度に実施した、戦時期~占領期は宝塚少女歌劇において、戦後は日本映画界において活躍した女優の淡島千景氏へのインタヴューをまとめ、編著書『淡島千景女優というプリズム』として、青弓社より刊行した。また、2008年度に明治学院大学で開催されたシンポジウム「戦う女たち日本映画における女性アクション」を書籍化した編著書『戦う女たち日本映画の女性アクション』を作品社より刊行した。同書においては、19世紀末から現在に至るまでの日本映画史における「暴力的・攻撃的女性」の表象の系譜について論じた。 また、実在もしくはそれに類する芸能の名人の生涯を物語る「芸道もの」ジャンルの映画・演劇・小説と、近代日本における「唱歌」「童謡」など児童向けの歌曲の歴史と、それが「大東亜戦争」に際していかなる機能を果たしたかに注目し、国内外のアーカイヴにおける資料調査及び学会発表をおこなった。2010年2月5-6日に韓国・ソウルで開催された韓国日本学会大会に参加し、戦時期および占領期における映画・演劇による日本近代芸能史の記述の試みと、そこでのジェンダーの問題に関する研究発表「男の芸道/女の芸道-戦時期及び占領期における「芸道もの」映画-」をおこなった。また、開催期間中、韓国映像資料院にて植民地時代の記録映像を調査した。2010年3月17-21日に米国・ロサンゼルスで開催されたSociety for Cinema and Media Studies第50回カンファレンスに参加し、近代日本における「童謡」の発展史を、戦時期を中心に論じた研究発表"A Song for My Mother[1939]and Popular Culture for Women and Children[onna-kodomo]in the 1930s Japanese Cinema"をおこなった。
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