今年度は、研究に関係する資料収集を行った上で、計画したいくつの課題を遂行した。 一、2009年4月、論文「万暦朝鮮之役明軍中的外国兵」を発表し、万暦朝鮮役における明朝軍に編入された、日本兵を含める外国兵の実態を究明した。 二、2009年7月、論文「万暦二一年日本に潜入した明朝の間諜」を発表し、さらに2009年8月に行われた第三届中国近代社会史国際学術研討会(中国・貴陽・貴州師範大学)において「前近代中日両国間的人員往来及其信息流通-以万暦二十一年潜入日本的明朝間諜為例」をテーマに口頭報告し、16世紀末に日本に派遣された明朝の間諜および彼らの活動を明らかにした。 三、2009年8月、論文「万暦朝鮮之役前夜明朝対日本的攻守戦略」を発表し、万暦朝鮮役前夜明朝の日本に対する攻防戦略に関する研究成果を公表した。 四、2009年10月に行われた「高麗大学校外国人研究員発表会」(韓国・ソウル・高麗大学校日本研究センター)において「16世紀末における東アジアの情報世界-朝鮮王朝に伝わった豊臣秀吉の死亡情報を例として」をテーマに招待講演をし、16世紀末東アジア世界の情報ネットワークという新しい研究課題を試みた。 五、2009年10月に開催した第三十八回「南島史学会」大会(関西大学)において「万暦年間明朝の対日諜報組織に編入された琉球国」をテーマに報告し、万暦年間明朝の対日諜報組織に編入された琉球国の実態を考察した。また、同年11月行われた「第12届中琉歴史関係国際学術会議」において「16世紀末的琉球国與明朝的対日情報活動」をテーマに報告した。両報告は、16世紀末に発生した豊臣政権の朝鮮侵略期における琉球の対日本情報活動の研究成果である。 六、2010年1月、論文「万暦四七年徳川将軍に外交文書を送った「浙直總兵」について」を発表し、万暦末年の中日交渉の一端を明らかにした。 上記のように、今年度の研究は計画通り遂行した。
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