本年度は4階の非線形シュレディンガー型方程式の定在波解の軌道安定性について研究を行った。2階の通常の非線形シュレディンガー方程式が渦糸の運動を近似していることは良く知られているが、4階の非線形シュレディンガー型方程式は2階の通常の非線形シュレディンガー方程式の高次近似としてFukumoto-Moffattにより導出されている。近似方程式とさらに高次近似の方程式の解の関係を知ることは重要な問題である。また通常の非線形シュレディンガー方程式が軌道安定なソリトン解を持つことはよく知られている。それゆえ、本年度は高次近似の4階の非線形シュレディンガー型方程式においてもソリトン解が存在し軌道安定であるかを調べた。その結果、方程式が保存量およびソリトン解をもつための係数に対する十分条件を発見し、その場合においては十分小さいソリトン解が基底状態解であり安定であることを示した。また4階の非線形シュレディンガー型方程式は係数が特定の条件を満たす場合には可積分となる。その場合については常にソリトン解は安定であることを示した。この結果は4階の非線形シュレディンガー型方程式も特定の係数において通常の非線形シュレディンガー方程式と似た性質を実際に持っていることを示唆している。このことは物理的な導出からも予想されていたが今回の結果はそれを支持するものである。またソリトン解とそのガリレイ不変性を調べることにより方程式の十分広いソボレフ空間での不適切性を示すことができた。これにより4階の非線形シュレディンガー型方程式自身の性質についての理解も深まった。
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