研究課題/領域番号 |
09041003
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
荒木 美智雄 筑波大学, 哲学・思想学系, 教授 (60103032)
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研究分担者 |
ハロルド クラインシュミット 筑波大学, 社会科学系, 助教授 (60225240)
古田 博司 筑波大学, 社会科学系, 助教授 (00209181)
妹尾 達彦 筑波大学, 歴史・人類学系, 助教授 (20163074)
宮本 要太郎 筑波大学, 哲学・思想学系, 助手 (10312779)
笹尾 典代 恵泉女学園大学, 人文学部, 講師 (60308294)
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キーワード | ボーダーレス化 / 多宗教社会 / 民衆宗教 / 都市空間の宗教的構造 / 環太平洋地域 |
研究概要 |
21世紀を目前にした近年、国家や文化の枠組を超えたボーダーレス化と呼ばれる状況と、そのような状況によってもたらされる世界の大都市の空間構造の変革が注目されているが、本研究は、とりわけ、日本・中国・朝鮮半島などの東アジアからマレーシア・インドネシア・シンガポール・フィリピンなど東南アジア、オセアニア、そしてアメリカおよびメキシコなど北米中米の諸都市にかけての、環太平洋地域を中心として、そこにおける歴史的な都市空間の(古代都市国家以来の)象徴的普遍的構造を、比較諭的に探究した。その上で、同地域の諸都市における、人口集中と多民族多文化多宗教社会の形成が、情報化や市場経済の展開と相まって歴史的な都市や国家の概念からすれば全く新しい共同体の形成をもたらし、都市空間や国家や宗教の構造的変革を促進していること、そのことが従来の既成宗教とは異なった、新たな(民衆)宗教の生成を可能にしていること、などを学際的全体的に明らかにした。また、平成11年9月に筑波大学で開催された国際会議では、これらの成果が共有されただけでなく、今後さらに新たに考察すべき課題も明らかになった。すなわち、環太平洋の諸都市に住まう人々にとっての都市空間の歴史的宗教的意味を探究することが、21世紀における都市や国家や宗教の意味を把握することにつながること、それには、都市空間と宗教に対する太平洋という自然の歴史的風土的限定と始源性を明らかにすることが緊急の課題であることが確認された。
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