研究課題/領域番号 |
09041010
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
関本 照夫 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (20110083)
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研究分担者 |
林 行夫 京都大学, 東南アジア研究センター, 助教授 (60208634)
水野 広祐 京都大学, 東南アジア研究センター, 助教授 (30283659)
小笠原 小枝 日本女子大学, 家政学部, 教授 (80257071)
池本 幸生 東京大学, 東洋文化研究所, 助教授 (20222911)
高橋 昭雄 東京大学, 東洋文化研究所, 助教授 (90282706)
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キーワード | 地場産業 / 染織 / 東南アジア / インドネシア / タイ / ラオス / ビルマ / ベトナム |
研究概要 |
本年度は、インドネシア、タイの研究分担者も招いて東京で研究成果報告集会を開催した。そこでは以下の点が明らかにされた。 1)染・織の意匠と技術には各小地域ごとの伝統が維持されるとともに、多くの模倣や革新が行われていること。 2)この間の東南アジアの経済発展のなかで、小地域ごとの比較閉じた消費の構造が大きく変化し、大都市地域中流消費者の伝統的アイデンティティー回帰の動き、近代セクターとは別個の差別化商品を求める動きにより、より大きな流通圏、市場が国境も越えて発展していること。 3)一方では、小地域ごとに昔ながらの用途・昔ながらの意匠で作られてきた布への需要が減少し、新しい状況に適応できない生産者は様々な困難に直面していること。 4)こうした状況では、新しい消費者と生産者をつなぎ、どんなものがどこで求められているのかについて情報を媒介する作業が重要であり、新しいタイプの商人、政府機関、NGOなどの努力が求められていること。 5)染織産業は労働集約的な地場産業として経済力や人口の大都市一極集中化をふせぎ、小地域の生活文化を彩っていく上で、大きな役割を果たしていること。 6)1997年以来東南アジアをおそった経済危機は、大都市近代セクターで多くの失業者を発生させたが、それが農村の地場産業に吸収されるセーフティー・ネット機能が認められ、染織産業の異議が見直されていること。
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