研究課題/領域番号 |
09041018
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
岡村 秀典 京都大学, 人文科学研究所, 助教授 (20183246)
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研究分担者 |
宮本 一夫 九州大学, 文学部, 助教授 (60174207)
中村 慎一 金沢大学, 文学部, 助教授 (80237403)
都出 比呂志 大阪大学, 文学部, 教授 (90025065)
杉本 憲司 佛教大学, 文学部, 教授 (90079020)
田中 淡 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (90000306)
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キーワード | 府城遺跡 / 城郭都市 / 宮殿 / 段 / 二里岡文化 / 稲作 / プラントオパール |
研究概要 |
(1) 河南省焦作市府城遺跡の調査を河南省文物考古研究所と共同で実施した。測量調査によって、府城遺跡は一辺が300m足らずの正方形の城郭をもち、鄭州商城や偃師商城と同じ真北に方位をあわせていることが判明した。その結果に基づいて、東城壁、中央宮殿区、城内南西部、南城壁の4カ所について発掘した。城壁については、それを切断するトレンチによってその版築構造を明らかにするとともに、層位関係にもとづいてそれが二里岡文化に築造・使用されたことを明らかにした。中央区では城郭と同時代の巨大な版築基壇を検出し、その規模と位置からこの城郭の中心的な宮殿であることがわかった。遺跡は二里頭時代に居住がはじまり、殷代二里岡文化に中央直轄の地方都市として城郭が築造され、殷代殷〓期にそれが衰退した後も西周時代までは集落が継続し、東周時代の中断の後、漢代には瓦葺きの建物をもった都市として再建されるという、集落・都市の変遷が明らかになった。また、発掘した土器の整理を同時に進め、二里頭時代には洛陽を中心とする二里頭文化のほかに、いわゆる先商文化や山西の東大堡文化の土器が流入し、活発な地域間交流があったことがわかった。 (2) 長江流域の稲作地帯に城郭集落が出現した背景に、農業生産力の発達が想定されるため、浙江省文物考古研究所・江蘇省農業科学院と共同で稲作関連の農業遺跡の調査をおこなった。長江下流域の7カ所の遺跡を選定し、踏査とプラントオパール試料の採取のためのボーリング調査を実施した結果、江蘇省高淳市〓城遺跡、宜興市西渓遺跡、常熟市北羅〓遺跡の3カ所で水田遺構の埋蔵が推定された。いま来年度の本格調査に向けて、中国側と協議中である。
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