研究課題
国際学術研究
三年計画による「中央アンデスにおける近代化の民族学的研究」の初年度としてペル-国において実施した調査の実績を既提出の実施計画に従って以下に記す。1.社会(都市/農村関係を通じての地域統合)首都リマにおける三世代にわたるアヤクチョ地方出身者の家族親族関係・同郷出身者組織(クラブ・協会)の実施態様を通じて、1.「同一地方出身者の強固な社会的連帯」2.「その連帯感に果たす祝祭・民族芸能の重要性」が明らかになった。(担当:友枝)2.宗教(カトリック祝祭と地域統合)南部山地都市クスコにおいては、農村人口の流入に伴う十字架信仰が顕著であり、その一例としての「十字架の奇跡」現象の発生・組織化・定着過程の調査を通じて、「公的カトリシズムと民衆カトリシズムの動態的関係」が明らかになった。(担当:加藤)3.思想・芸術表現(地域アイデンティティーの民族表象)首都圏におけるアヤクチョ地方出身者による民族芸術(箱型祭壇・焼きもの・聖人像など)の製作・流通販売の実態調査を通じて、1.「この種の芸術表現の国民文化の一部としての受容」2.「伝統の普遍化の過程」が明らかになった。一方、国際観光都市クスコ市においては、観光客の介在によって、国民文化へと直接つながらない形での地方伝統の再生と変容の姿が明らかになった。(担当:藤井、木村)なお、4名の現地研究分担者は、上記諸現象の背景として重要になるペル-近現代社会経済史の史料収集と分析を、北部・中部・南部をそれぞれ分担して遂行した。(担当:ミリョネス、ガマラ、フローレス)
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