研究分担者 |
張 鉄男 新疆文物考古研究所, 研究員
于 志勇 新疆文物考古研究所, 副所長
岳 峯 新疆文化庁文物局, 局長
高橋 照彦 国立歴史民俗博物館, 考古研究部, 助手 (10249906)
吉崎 伸 京都市埋蔵文化財研究所, 研究員
田辺 昭三 京都造形芸術大学, 芸術学科, 教授 (90068817)
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研究概要 |
今年度の調査は、夏期ウルムチにおける既収集済み文物の調査と、秋期ニヤ遺跡現地調査を行った。概要は以下の通りである。 [ウルムチでの調査] (1)8月にウルムチの新疆文物考古研究所にて既収集文物のリスト,撮影記録,実測を行って98年度出版「第2巻報告書」掲載の資料造りを行った。 (2)N5寺院から出土した壁画の調査と,96MN墓地から出土した錦や工芸品についての初歩的調査を行った。 [ニヤ遺跡調査] ニヤ現地調査は,考古学調査,遺跡分布調査,地質学調査の3部門で行った。以下の通りである。 *考古学調査:(1)N14住居址東に広がる4つの炉跡と2つの窯跡及び池跡と見られる個所を中心とした工房跡を調査・測量した。 (2)仏塔西南1kmにある遺跡群中の保存状態のよい窯跡の調査,測量をおこなった。 (3)95MN墓地に接するMN6墓地の調査。刳り貫き式棺などの調査,測量を行った。 (4)新たに発見された97A3墓地は箱式棺が露出おり、緊急保護のための調査を行った。6人の被葬者が納められ、絹がかけてあった。 *遺跡分布調査:(1)ニヤ遺跡から北に伸びる古代ニア川々床を20kmさかのぼって調査をした。93A3,93A4墓地を発見した他は遺跡を見いだせなかったが、(2)ニヤ遺跡では新たに8個所の遺跡(住居址4,墓地2,寺院1,窯跡1,炉跡1)を登録した。特に新仏教寺院が注目されている。(3)N24住居址など9戸の住居址と寺院、さらに小屋,並木,垣根を含む遺跡群の測量をした。 *地質学調査:(1)ニヤ遺跡の地盤を形成する古代ニヤ川の川床の地質調査とサンプル採取。(2)古代ニヤ川の川床形成に大きな関わりを有すると考えられる隆起帯(民豊隆起帯)の調査。 [研究発表・シンポジュウム・ニヤ遺跡文物の開催] 佛教大学に於いて97年9月22日〜23日の2日間(文物展は7日間)中国から8人の学者(徐苹芳・孟凡人・林梅村・王炳華・于志勇・沙比提・張鉄男)を招へいし、また、日本の学者9人(真田康道・田辺昭三・伊東隆夫・蓮池利隆・樋口隆康・長沢和俊・井上正・赤松俊彦)が参加し、研究発表会およびシンポジュウムを開催した。
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