研究課題/領域番号 |
09041036
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研究種目 |
国際学術研究
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応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
網干 善教 関西大学, 文学部, 教授 (90067463)
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研究分担者 |
藪田 貫 関西大学, 文学部, 教授 (80027987)
高橋 隆博 関西大学, 文学部, 教授 (70188019)
山岡 泰造 関西大学, 文学部, 教授 (50067576)
丹治 昭義 関西大学, 文学部, 教授 (00067555)
薗田 香融 関西大学, 文学部, 教授 (40067492)
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キーワード | マヘ-ト遺跡 / 煉瓦積遺構 / ヒンドゥー寺院 / 寺院構造 |
研究概要 |
昨年度において、遺跡中央部西半部に大形の遺丘が存在し、この遺丘の頂部に3基の略方形の煉瓦積遺構の上面が地表面に露出している状況を確認していました。また、表面観察により、この遺構はその一部を以前に発掘されていたことおよびその構造から寺院であることを理解していました。この遺丘は1908年に、J.Ph.フォーゲルが作成したマヘ-ト遺跡全体平面図に「ヒンドゥー寺院」として記載されていますが、その発掘がいつの時期に調査されたのか不明であり、したがってその全体的な構造に関してはいっさいの記録もない状況にありました。露出部分の観察から、この寺院がかなり大型かつ他に例をみない構造を有していることが理解でき、遺跡後半期の建物として遺跡理解に重要であることを認識した上で、寺院の全体構造を再度明らかにし、記録を作成することを目的として、本年度の調査対象としました。 発掘調査の結果、以前に発掘されたのは遺丘の頂部に並ぶ3基の遺構(以下寺院本堂と呼称します)のみであり、3基の本堂の周囲には煉瓦積みの周壁がめぐり、東側に玄関部をもつことが明らかになりました。寺院の造営には大きく分けて前後2つの時期があり、それぞれで構造が異なっています。前期には3基の本堂を周壁が取り囲み、寺院内陣は本堂に対して礼拝を行う空間となっています。後期になると、前期寺院本堂の上に内部空間を有する建物が新たに構築され、周壁の内部には煉瓦片や土が充填され、寺院本堂の高さまで床面が上昇します。この段階では、内部空間を形成するという周壁の本来の目的は失われ、寺院の外観は煉瓦積の高まりの上に寺院本堂が並ぶという構造に改変されています。 調査前に想定したとおり、こうした寺院構造は遺跡内の同時期の建物にはみられず、都市の衰退期にある西暦7〜8世紀の建物構造およびこの区域の状況を理解する上で重要な資料を得ることができました。
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