インド共和国マヘート(舎衛城)遺跡の研究-市外区域の調査を中心として

1998 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 09041036
• 研究機関: 関西大学
• 研究代表者: 高橋 隆博 関西大学, 文学部, 教授 (70188019)
• 研究分担者: 高橋 誠一 関西大学, 文学部, 教授 (00025082) ; 藪田 貫 関西大学, 文学部, 教授 (80027987) ; 山岡 泰造 関西大学, 文学部, 教授 (50067576) ; 丹治 昭義 関西大学, 文学部, 教授 (00067555) ; 薗田 香融 関西大学, 文学部, 教授 (40067492)
• キーワード: マヘート遺跡 / 煉瓦積遺構 / ヒンドウー寺院 / 寺院構造

研究概要

1998年度の発掘調査(1999年2月〜3月)は、マヘート遺跡の東南部に遺存する大形遺丘「ヒンドゥー寺院」の周辺部において実施しました。今年度の調査は、1997年度に発掘したヒンドゥー寺院(ポスト・グプタ朝期;紀元7〜8世紀)に先行する煉瓦積み遺構を確認すると共に、この地区の歴史的な展開過程を明確にすることを主目的にしました。発掘区はヒンドゥー寺院の西方、東西50m、南北75mの範如に設定し、主としてトレンチ法で発掘を進めました。
その結果、クシャン朝期〜グプタ朝期に及ぶ、遺跡衰退期の重複・積層した居住を主目的とする煉瓦積建造物を検出しました。全般的に、グプタ朝期の世俗的な建造物は床面を伴っていることが判明しましたが、その遺存状況は不良である事例が多数を占めています。また、これらの建造物(層位)からは日常的な石製・鉄製の調理用具や農耕具などが出土しましたが、同時に土製の人形土偶なども共伴しています。このように、ヒンドゥー寺院の周辺地域は、当遺跡における最も濃密な居住空間の一つであり、その発掘調査の推進は当該時期における遺跡全体の変遷を検証・考究する上で、必要不可欠な各種の情報を将来するものと推断できます。
なお、発掘調査に先行する夏期(1998年7月〜9月)には、既往の調査で出土した各種遺物の実測調査を保管場所であるASI支局(パトナー市所在)で実施しました。また、これと併せてマヘート遺跡で検出・確認した各種の遺構と関連する諸事例の踏査・研究を、主として南インド地域で実施すると共に、各地の博物館・研究所等に所蔵される関連遺物の調査・研究を実施しました。

研究成果

• [文献書誌] 網干,善教: "考古学研究の視座" 史泉. 88号. 1-14 (1998)
• [文献書誌] 網干,善教: "祇園精舎を掘る" ブッダ. 第一巻. 137-142 (1998)
• [文献書誌] 網干,善教: "阿波国板野町大伏出土瓦教片の復元研究" 北畠典夫博士古稀記念論文集. 795-812 (1998)
• [文献書誌] 薗田,香融: "播磨最初の禅院宝覚寺のことども" 兵庫県の歴史. 34号. 11-20 (1998)
• [文献書誌] 薗田,香融: "川原寺裏山遺跡出土の〓仏をめぐる二・三の問題" 網干善教先生古稀記念考古学論集. 下巻. 1087-1106 (1998)
• [文献書誌] 薗田,香融: "大乗起信論議記" 東西学術研究所紀要. 31巻. 51-78 (1998)
• [文献書誌] 高橋誠一: "古代横大路の地下遺構と地表遺構" 古文化論叢. 519-533 (1997)
• [文献書誌] 高橋誠一: "満100才の国際文化観光都市「奈良」" 地図で見る100年〜近畿. 近刊 (1998)
• [文献書誌] 木庭元晴: "「カネオへ湾およびその後背地域の環境に関する研究」" 「現代社会と環境・開発・文化」. 71-100 (1998)
• [文献書誌] Motoharu Koba: "Marine ecological survey (1) corals, seaweed/seagrass and bio-geography of reef flat." “Goverment of the Republic Indonesia, Ministry of Public Works, Bali Beach Conservation Project". 1-198 (1998)
• [文献書誌] 木庭元晴: "ハワイ州オアフ島カネオへ湾およびその後背地域の開発と環境保全" 「現代社会と環境・開発・文化」. 11-69 (1998)
• [文献書誌] 米田文孝: "「博物館の歴史」" 「博物館概論」. 18-36 (1998)
• [文献書誌] 丹治昭義: "On Samaropal" Nagao Festschript. (1998)
• [文献書誌] 丹治昭義ほか: "「大乗起信論義記研究」" 「関西大学東西学術研究所紀要」. 31. 51-78 (1998)
• [文献書誌] 山岡泰造: "彫刻史序考" 「哲学」. 19号. 209-214 (1999)
• [文献書誌] 山岡泰造ほか: "妙心寺退蔵院の建築及び障壁画の研究" 「関西大学博物館紀要」. 第5号. 印刷中 (1999)
• [文献書誌] 山岡泰造: "「絵画史における中国と日本(三)" 「関西大学東西学術研究紀要」. 32. 印刷中 (1999)
• [文献書誌] 高橋誠一: "大和の前方後円墳に関する計数的分析" ジオグラフィカセンガオカ. No.3. 61-85 (1997)
• [文献書誌] 米田文孝: "鞍金具・轡・鈴" 「博物館資料図録」. 125-127 (1998)
• [文献書誌] 米田文孝: "牽牛子塚古墳に眠るには斉明天皇か" 「歴史と旅」. 3月号. 70-78 (1999)
• [文献書誌] 貝柄徹・木庭元晴ほか: "サンゴ骨格のESRスペクトル特性と属依存性" 地理学の諸相. 37-52 (1998)
• [文献書誌] 貝柄徹・古川雅英ほか: "砂漠堆積物の放射化分析による定量分析" 関西外国語大学紀要. 69号. 1-20 (1999)
• [文献書誌] 高橋隆博: "土器づくりの伝統が江戸時代に花咲いた赤膚焼き" 江戸時代人づくり風土記. 第29号. 173-178 (1998)
• [文献書誌] 高橋隆博: "高麗の螺鈿" 世界美術全集(東洋編). 第10卷. 237-244 (1998)