研究課題/領域番号 |
09041037
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
人文地理学
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
新谷 英治 関西大学, 文学部, 教授 (20187561)
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研究分担者 |
勝田 茂 大阪外国語大学, 外国語学部, 助教授 (90252733)
金坂 清則 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (00092825)
原 隆一 大東文化大学, 国際関係学部, 教授 (70198901)
出口 晶子 関西外国語大学, 国際言語学部, 助教授 (00268385)
堀川 徹 京都外国語大学, 外国語学部, 教授 (60108967)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1999
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キーワード | 中東世界 / 伝統技術 / 水力利用技術 / 水利・灌漑技術 / 農耕技術 / 遊牧技術 / 航海技術 / 船舶建造技術 / shipbuilding |
研究概要 |
本研究は中東世界における様々の伝統技術の実態を歴史地理学的に解明することを目的としている。3箇年の調査研究では、イラン・トルコを中心とする西アジア・イスラーム世界を主たる対象地域とし、古来この地域と深い文化的関係を有する地中海世界にも視野を広げつつ、さまざまの伝統技術の実状と系譜を探り、あわせて技術伝承の状況の解明に取り組んだ。研究手法としては、当初「国際学術研究」として出発した経緯から現地での実見や聞き取りによる調査を主体にしたが、文献に基づく歴史学的手法も採り入れている。 調査研究の結果、当該地域では西アジア的伝統とイスラーム的伝統あるいは地中海世界的環境で育った優れた伝統技術、例えば環境を巧みに利用して生きる遊牧民の生活技術、乾燥地での農耕技術、農耕を支え日常生活を快適にしてきた灌漑・水利技術、水力利用の重要な形態である水車、沿岸に生きる人々を支えてきた船舶建造技術、イスラーム世界の知の伝統を支えてきた写本作製技術、人々の心のよりどころである芸能とそれを支える工芸技術などが、社会・経済の「近代化」あるいは「西欧化」が進む中で深刻な危機に晒されている実態が浮き彫りになった。しかし一方、つぶさに調査・検討すると、これらの伝統技術が今も人々の不断の努力によって受け継がれ、現代に生きている様もまた確認される。かつて地中海世界で発達した航海技術とそれを支えた海図、航海案内書についても、今日に伝わるさまざまの記録からそれらの果した歴史的重要性が改めて認識される。 当該地域においてさまざまの伝統的な技術が危機にあると同時に、歴史的重要性を帯び、また人々の生活に不可欠のものとして生きつづけていることを考えると、伝統技術の多角的な調査・研究が今後ますます重要となろう。
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