研究課題/領域番号 |
09041043
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研究種目 |
基盤研究(A)
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応募区分 | 一般 |
研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
野村 雅一 国立民族学博物館, 民族学研究開発センター, 教授 (60142014)
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研究分担者 |
ト田 隆嗣 大阪教育大学, 助教授 (40202113)
中川 真 京都市立芸術大学, 音楽部, 助教授 (40135637)
北村 光二 弘前大学, 人文学部, 教授 (20161490)
山口 恵里子 筑波大学, 現代語・現代文化学系, 講師 (20292493)
藤田 隆則 大阪国際女子大学, 人間科学部, 助教授 (20209050)
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キーワード | 身体 / コミュニケーション / 舞踊 / 身体共鳴 / 身体技術 / 子ども / マイム |
研究概要 |
身体的コミュニケーションの基礎的問題を世界的ひろがりのなかで考察しようとする本研究の最終年度の本年は、補完調査をほぼ予定どおりおこなうとともに、総合的な展望をえるようつとめた。 代表者の野村は、本研究のまとめの過程でインドの身体表現の特異性とその影響圏の大きさを再認識し、インドでもとくに文化の古層がのこるオリッサ州で舞踊や武術の伝統を調査した。その結果、表現技術の伝承における身体共鳴の役割、また各部位の分野性(ずれ)がもつ表現力を確認できた。北村はケニヤの牧畜民トゥカナのあいだでの物の授受の交渉を観察し、かれらのコミュニケーションは、たがいの振る舞いがシンクロナイズしあう身体共鳴を基礎としているというかんがえ方があることをあきらかにした。 中川はジャワの伝統舞踊におけるクンダン(太鼓)と舞踊パターンの顕著な照応関係を観察し、クンダンにおよそ20パターンがあり、それらの組みあわせに従って踊りのためのシークエンスがいかにできあがるかを確認した。ト田は今年度は調査対象地を東南アジア島嶼部からベトナムに移し、内陸部のエデと低地・沿岸部のチャムの両集団の身体共鳴のあり方のちがいを、姿勢や視線を中心に調査した。そして、藤田はフィリピン・ルソン島の山地民のあいだで、儀礼の過程で大人の動作の子どもへの伝播に焦点をあてて調査をおこなった。 さらに、身体共鳴の基礎研究としての本研究に、マイム(模写)の歴史と技術への視点が欠けていたために、民博の企画公演に来日したアメリカの著名なパフォーマーで演劇人類学者のトマス・レパートの公演とレクチャーの記録撮影と特別インタヴューをおこなった。 これらは貴重な学術資料となる。
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