研究課題
国際学術研究
アナトリアの古代遺跡出土遺物の産地推定は、考古学、分析化学の両面から、調査、研究を行った。考古学の調査研究では、研究代表者の大村幸弘が、中央アナトリアに位置するカマン・カレホユックで発掘調査を行った。1986-1997年までの発掘調査で、4層(第I層オスマン・トルコ時代[16〜17世紀]、第II層鉄器時代[前12〜前4世紀]、第III層中期・後期青銅器時代[前20〜12世紀]、第IV層前期青銅器時代[前30〜20世紀])を確認している。今シ-ズンは、各層から出土している土器、青銅製品、鉄製品、ガラス製品、骨角製品、黒曜石製品等の整理を層序ごとに行い、産地推定のための基礎データの作成に重点を置いた。高浜秀は、第II層鉄器時代出土の青銅製品、骨角製品の、雪嶋宏一は、同じく第II帽出土の青銅製鏃の整理、研究を行い、アナトリアと黒海沿岸地域の文化的影響および関係を示唆し、考古学的側面から産地推定を試みた。分析化学の調査研究では、平尾良光が中心となり、1986-97年のカマン・カレホユツク葉II〜IV層出土の青銅製品の採集、整理、分析を行った。分析は現在継続中であるが、層序により産地に相違が見られることが明らかになりつつある。また、平井昭司、赤沼英男は第II層出土の鉄製品の採集、整理、分析を行つた。両者の分析により、各層の鉄製品の化学組成が明らかになるとともに、鉄製造技術も解明されつつある。特に赤沼の研究によって、ヒッタイト帝国時代に鋼の製造技術が存在していたことが明らかになったことは特筆すべきである。一方、中井泉等の研究グループは、カマン・カレホユック第I、II層出土のガラス製品、土器の組成分析を試みた。望月明彦は第I〜IV層出土の黒曜石製品、前年度、中央アナトリアの黒曜石の産地で採取した資料の分析、比較を待つた。
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