研究課題/領域番号 |
09041046
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
太田原 高昭 北海道大学, 農学部, 教授 (70002061)
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研究分担者 |
陳 希校煌 台湾大学, 農業経済系, 教授
禹 暎均 韓国尚志大学, 生命資源科学部, 助教授
志賀 永一 北海道大学, 農学部, 助教授 (50235511)
坂下 明彦 北海道大学, 農学部, 助教授 (70170595)
黒河 功 北海道大学, 農学部, 教授 (90125310)
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キーワード | WTO / 台湾農業 / 輸出競争力 / 農業の集約化 / 農会 / 産銷班 |
研究概要 |
本研究は、東アジア地域を対象として、WTO体制下の農業構造の転換とそのもとでの農村協同組合組織の再編動向を、対象地域の研究者と連携しながら究明することを課題としている。第2年度は、日本と同様兼業化が進展をみせている台湾を主たる調査対象地とし、合わせて中国東北の補足調査を実施するとともに、次年度へ向けての韓国における予備調査を実施した。また、台湾大学において共同研究者を含むスタッフとの研究会を実施した。 台湾における農業構造の変化とそれに対応した農会組織の機能に関する研究概要は以下の通りである。 植民地期を特徴づけた米とサトウキビの競合・併存状況は高度経済成長とともに空洞化し、砂糖についで米も過剰状況に陥り、1984年からは日本と同様に減反政策が実施されている。また、戦後の農業のもうひとつの特徴であった熱帯果実と加工型畜産、養殖漁業についても、東南アジア・中国での開発輸入の進展によって、輸出競争力を喪失しつつある。これに対し、政府はWTO加盟を見越した国内向け野菜・果実生産を奨励しており、その組織的取組が目立っている。 他方、台湾の基本的な農民組織である農会は構成員の兼業化・高齢化のもとで、日本と同様に地域金融機関としての展開をみせている。このため、従来から政府の流通統制の下請け機関としての性格を濃厚に有していた経済事業は、政策の後退と生産基盤の脆弱化の両面から減少傾向にある。しかし、出・資制度の廃止にともなう剰余金の使途規制によって、営農指導にかかわる経費は潤沢であり、高齢化に伴う稲作作業の受託組織の形成、産鋭銷班による野菜・果実の産地形成に農会は大きな役割を果たしている。
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