研究課題/領域番号 |
09041051
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
駒井 洋 筑波大学, 社会科学系, 教授 (20058100)
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研究分担者 |
高橋 美和 愛国学園短期大学, 講師 (40306478)
鈴木 規之 琉球大学, 法学部, 助教授 (60253936)
CHAVIVUN Pra 筑波大学, 地域研究研究科, 外国人教師
小野澤 正喜 筑波大学, 歴史・人類学系, 教授 (90037044)
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キーワード | タイ / カンボジア / ミャンマー / ラオス / 上座仏教 / 仏教回帰 / 民主化運動 / 現世利益 |
研究概要 |
本年は、タイ、カンボジア、ミャンマー、ラオスにおいて、前年度に引き続いて実地調査をかこなった。主要な発見事項は以下のとおりである。 タイにおいては、バブル経済の崩壊後、拝金主義的風潮にたいする反省が起こり、上座仏教の伝統に回帰しようとする傾向が現れている。ただし、昨年明らかにしたとおり、サンガはこのような傾向にたいする対応能力を大幅に喪失しており、そのギャップが著しい。カンボジアでは、とくにタケオ州農村部におもむき、寺院と僧侶の復興過程に果たす役割を実際に調査した。ここでは、村の指導的階層である若年高学歴男性に仏教回帰が強く見られ、中年低学歴男性の世俗主義と顕著な対照を示している。寺院と僧侶の復活にも目覚ましいものがある。 ミャンマーでは、民主化運動の中核に僧侶とサンガが存在し、仏教教理は軍事独裁体制にたいする抵抗の思想的基盤を提供している。とくに実践倫理である八正道の再発見とその評価がその核心をなしている。 ラオスは、交通手段の整備の結果、経済的にも文化的にもタイの影響圏に組み込まれた。仏教もタイ仏教の動向に大きく支配されており、現世利益を求めようとするタイと同様の傾向が出現している。 以上のように、上座仏教社会は、それぞれの歴史性や風土性に規定されながら、単純な一般化を許さない独特な展開をみせているといえる。
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