研究課題/領域番号 |
09041054
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
八木 宏典 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (00183666)
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研究分担者 |
仲地 宗俊 琉球大学, 農学部, 助教授 (70180312)
永木 正和 筑波大学, 農林学系, 教授 (90003144)
大原 興太郎 三重大学, 生物資源学部, 教授 (70024586)
岩元 泉 鹿児島大学, 農学部, 教授 (10193773)
藤本 彰三 東京農業大学, 農学部, 教授 (80147488)
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キーワード | ベトナム / 水田農業 / 持続的農業 / 紅河デルタ / メコンデルタ / 開放経済 |
研究概要 |
本年度は最終年度なので、ベトナムの農業についての補足調査と総括的な検討を行った。その概要は以下の通りである。 第1の点は、経済発展と農業との関係についてである。 ベトナムの国民経済状況は、いうまでもなく、工業発展を辿る以前の、低い農業的段階にとどまっている。 こうした状況から脱却して農業がダイナミックな展開を遂げていくためには、長期的には、都市化・工業化を中心とした経済発展がなければならない。近隣のアジア諸国が追求してきた近年の経済発展の方向は、資本主義に参入した先進国から資本と技術を受け入れ、低賃金または低生産性の労働力を活用しながら輸出指向の工業化を図り、それをテコとして国民経済全体を成長させていこうとするものであった。ベトナムの場合にも、こうした経済発展の方向が課題になることは否定できない。 しかしながら、当面の短期的または中期的な経済発展のあり方について考えると、本格的な工業化の以前に、まず農業が経済発展の中心を担い、農業の発展によって国民経済の水準を一歩高めると同時に、その間に社会的生産基盤の整備も図っていくという経過的発展段階経る必要がある。農業発展をまず重視するこうした構想は、国の乏しい財政の投下効率という点からみても意味を持つであろうし、あるいはまた、市場経済への適応力を備えた農業の確立を十分に図らないまま外資依存型・輸出指向型の経済発展を追求した場合には、食料の確保が将来の大きな不安定要因となり、さらに都市への過度の人口集中とその一方での農村の疲弊によって都市問題と地域問題がより先鋭な形で激化しがちである、といった理由から重視していかなければならない。 第2の点は、持続的農業発展というキーワードに関連してである。 自然力に基づく産業である農業において土地、水、その他の環境的要因の保全が重要なことは途上国の場合においても変わりがない。実際にはベトナムの水田農業の最近の変化の中には、この面で、農薬や化学肥料の多投入など個別経営内、地域内、あるいは地域間といったさまざまなレベルで、種々の問題が発生している。
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