(1)大都市圏における移民の現状把握とその社会的統合政策の試みの把握。大都市圏の郊外の移民第二世代を中心とした社会問題が多発する中で、移民第二世代の案化から新たな革新の試みがなされており、そうした多様な試みをさぐることに努めた。また、1980年代の移民第二世代の社会運動(ブールの運動)が、1990年代後半になって、どのような形で変化したのかを把握することに努めた。そこでは、80年代の激しい社会運動から第二世代の自動〓力、政治参加、制変化などの新しい形態への移行が認められた。 (2)国籍法の改正とそれに伴なう移民の政治参加の形態とその問題点の把握。保守政権による移民規制(パスクア法、ドブレ法)がなされ、1997年の社会党政権の成立により、このパスクア法、ドブレ法への対応が注目されていたが、シュベーヌマン法という形で、再度改正がなされた。こうした新しい状況に関する資料の収集を行なった。また、こうした作業を通して、フランスにおける国籍をめぐる現状と論争について把握に努めた。また、近年のフランスでキーワードとなりつつある「フランス型多文化主義」に関する識者の意見収集も行なった。 (3)不法滞在者(サンパヒエ)に対する支援と排除の正面からみたフランス社会の統合能力の状況と問題点の把握。移民支援団体への聞き取り調査を中心とし、不法滞在者(サンパピエ)の運動及び、彼らへの支援の状況の把握に努めた。また、上記の移民第二世代(ブール世代)の社会問題をサンパピエの合法科を求める運動との関連と不連続性の分析に努めた。
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