研究課題/領域番号 |
09041059
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
内藤 正典 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 教授 (10155640)
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研究分担者 |
長谷 安朗 九州工業大学, 工学部, 助教授 (90212141)
矢澤 修次郎 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 教授 (20055320)
林 徹 東京外国語大学, A・A研, 助教授 (20173015)
小杉 泰 国際大学, 大学院・国際関係論学科, 教授 (50170254)
私市 正年 上智大学, アジア文化研究所, 教授 (80177807)
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キーワード | ヨーロッパ / イスラーム復興 / トルコ / アラブ / マグリブ / ムスリム / 移民 / ドイツ |
研究概要 |
本研究の目的は、西ヨーロッパ諸国に定住したムスリム移民社会に発生しているイスラーム復興運動の実態と方向性を解明することにある。本年度は、ドイツ、オランダ、フランス連合王国において、トルコおよびモロッコ出身の移民が主体となっているイスラーム復興運動について、以下の諸項目を中心に調査・研究を実施した。 (1)移民がイスラーム復興運動に参加する契機 (2)移民によるイスラーム復興運動の組織化の実態 (3)イスラーム復興運動に対するホスト国社会の反応 (4)移民の第二、第三世代の若者の言語問題とホスト社会からの疎外 (5)イスラーム復興運動の活発化にともなう移民社会の分裂 本年度の成果を要約すると以下の通りである。 (1)移民によるイスラーム復興運動の契機に関しては、基本的に西欧諸国が直面する先進国の病理(麻薬、家族の崩壊等)に対する恐怖があり、とりわけ、子どもをそれらの病理現象から保護するためにイスラームへの傾斜が促進されていることが明らかになった。 (2)しかしながら同時に、フランスにおいて顕著にみられるように、ホスト国における政教分離原則が、聖俗分離を認めないイスラームとのあいだに摩擦を引き起こし、移民社会の反発を招いていることも明らかとなった。 (3)冷戦の崩壊にともなって顕在化したイスラーム脅威論が、移民社会を疎外し、それがイスラームを軸に移民を結束させる結果を招いている傾向が明らかになった。
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