本研究の主たる目的は、1975年と1985年当時、日本各地の大学に留学、その後帰国した元留学生を本国に訪ねて詳細な面接調査を行い、日本留学経験が帰国後にどのように活用され、どのような問題をはらんでいるかを明らかにすることである。調査対象としては、日本留学生の中でも多数を占める中国、韓国、台湾の3ヶ国、留学という形の人物交流で日本とのインバランスが問題になっている米国の合計4ヶ国を取り上げる。なお、本研究には3ヶ年を予定しており、その初年度にあたる本年度は韓国及び台湾の2ヶ国での面接調査を実施した。 まず1995年から96年にかけて実施した質問紙調査の中で、将来に計画された面接調査への協力の意思を表明した回答者の中から性別、年齢、職業、日本留学時の所属大学、専攻などを考慮して各国50名余の面接候補者を選んで依頼状を送付し、その回答を待って現地での調査協力者を通じて日程の調整をしたうえで調査を実施した。本年度は1997年8月24日から9月4日にかけて韓国を訪れ、ソウル、大邱、釜山に在住する合計28名の対象者に面接、その後1998年2月8日から18日にかけて台湾に出向き、台北、台中、台南、高雄の各地で合計29名の元留学生に面接して日本留学前の準備段階から留学中の経験、さらに帰国後の仕事や生活に関して詳しい話をうかがったわけだが、それぞれの国情や対日感情の違いなどにも配慮しつつ、現在、個々の面接結果を事例研究の形で整理しているところである。
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