研究課題/領域番号 |
09041082
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研究機関 | 国際大学 |
研究代表者 |
黒田 壽郎 国際大学大学, 院国際関係学研究科, 教授 (90051309)
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研究分担者 |
櫻井 秀子 国際大学, 国際大学研究所, 講師 (60203345)
黒田 美代子 駒沢女子大学, 人文学部, 助教授 (80277897)
今村 仁司 東京経済大学, 経済学部, 教授 (60096378)
樺山 紘一 東京大学大学院 人文社会系研究科文学部, 教授 (30027544)
真田 芳憲 中央大学, 法学部, 教授 (50055167)
阿部 謹也 一橋大学, 学長 (40002977)
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キーワード | 同業者組合 / 地中海 / 商業 / イスラーム / アレッポ / ダミエッタ / スーク / 伝統経済 |
研究概要 |
地中海を挟んだヨーロッパと中東世界の職能組合の比較研究を目的とする本研究の初年度は、これまでギルドという形で一括して論じられてきた視座を転換するために、ギルドと後者のヒルファの質的相違を明らかにすることに焦点が置かれた。これにより両者の成立の歴史的、社会的背景と、構造、機能の相違が基本的に明らかにされた。前者はそれ自体で、<独立>した特徴が強く、後者にはむしろ市場の内部に<埋め込まれ>ているという性格が濃厚である。 このような後者の特徴を形成する基本的な要素は、イスラーム法である。イスラームの経済システムの支えとなっているのは、イスラームの法、シャリーアであるが、この法の本性、、特質ならびにその歴史的機能に関しては、これまで学会におけるその欠陥説、機能不全説の影響により論究されることがほぼ皆無であった。この欠陥を訂正するために本年度は、この点で優れた成果をあげているW・ハッラークの最近の労作、『イスラーム法理論の歴史』の翻訳を試み、完成寸前の状態にある。またスークの商業的活動を検討するにあたっては、それに関連する法的諸規則の検討が不可欠であるが、それに関する文献は、ほとんど未紹介のままである。これを補うために他と協力して、W・アッ=ズハイリーの『イスラーム経済関連諸法規』のアラビア語からの翻訳の素訳を終了した。なお若干の時間を要するが、完成の暁には研究の質の大幅な改善につながるであろう。 ヒルファそのものについては、シリアのアレッポのスークに関連するシャリーア裁判所の記録の17〜19世紀分をそれぞれ数年分ずつ、同時にエジプトのダミエッタの『ダミエッタ新聞』を新たに数年分入手し、整理中である。 さらに視座の拡大のために、家訓の比較研究も開始した。
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