研究課題/領域番号 |
09041087
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研究機関 | 名古屋学院大学 |
研究代表者 |
片野 彦二 名古屋学院大学, 外国語学部, 教授 (60031382)
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研究分担者 |
陳 學超 西北大学, 中文系, 教授
樋口 勇夫 名古屋学院大学, 外国語学部, 助教授 (70267912)
黄 名時 名古屋学院大学, 外国語学部, 助教授 (60267911)
木村 光伸 名古屋学院大学, 経済学部, 助教授 (50167376)
石川 輝海 名古屋学院大学, 外国語学部, 教授 (60089844)
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キーワード | 中国の地域総合情報 / 西蔵自治区 / 新疆維吾爾自治区 / 少数民族 / 自然条件 / 生態環境 / 民族・言語・文化 / 社会・経済 |
研究概要 |
今回の学術調査では、中国の西蔵自治区(拉薩市及び同市周辺)と新疆維吾爾自治区(鳥魯木斉市及び同市周辺)を調査研究対象地域とし、それらの地域における自然条件、生態環境、民族・宗教・言語・文化、並びに社会・経済、等の特徴を調査し、種々のメディアによる各種の情報を収集した。 これによって明らかになった主要な点は、以下の通りである。(1)少数民族自治区は辺境の地にあり、従来は漢文化の浸透もあまり見られなかった。少数民族は、独自の文化と生活様式を居住地域の自然条件や生態環境に適応させ、それを維持してきた。その中に漢文化が色濃く浸透しなかったのは、彼等が自らの文化や生活様式を固守してきたことにもよるが、漢文化の浸透を許さざるをえない情況があまりなかったことにもよっている。(2)中国の広大な版図の中では、いくつもの経済圏がそれぞれの間に強いリンクを持たないままで共存していた。相互の依存関係は、全くなかったとは云わないが、強いものではなかった。ところが、最近になって、少数民族の居住地域での経済開発が進められるようになり、漢民族による資本・労働が大量に投入されるようになってきた。相互間の経済的依存関係は緊密化せざるを得ない。このような少数民族の居住地域における社会経済的基盤の変化は、これら地域への漢文化の流入を加速する。少数民族の伝統的で安定した文化や生活様式は混乱する。影響が大きくなれば、漢民族との摩擦を引き起こす可能性もある。 このような基本的な認識に基づいて、今回の学術調査によって収集された諸種の情報を、中国全体としての地域総合情報システムの中で体系的に整理する。ただし、この整理の作業には多くの時間と労力が必要とされるため、その成果の公表は今後にまたざるを得ない。
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