研究課題/領域番号 |
09041092
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研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
大津留 智恵子 国立民族学博物館, 地域研究企画交流センター, 助教授 (20194219)
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研究分担者 |
寺地 功次 共立女子大学, 国際文化学部, 専任講師 (60217429)
武田 康裕 防衛大学校, 社会科学教室, 助教授
大芝 亮 一橋大学, 法学部, 教授 (50168910)
足羽 興志子 一橋大学, 社会学部, 助教授 (30231111)
村上 勇介 国立民族学博物館, 地域研究企画交流センター, 助手 (70290921)
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キーワード | 民主主義 / アメリカ外交 / アジア / ラテンアメリカ / ポスト冷戦 / 文化 |
研究概要 |
アメリカの外交における民主主義の全体像を見いだすための調査一年目は・四つのレベルから調査が行われた。一つは、アメリカ国内での民主主義観に関するもので、西崎がスペイン内戦時の世論において国内・海外の民主主義追及に相互関係を、足羽がアジア系宗教集団の活動において市民意識形成運動と他の民主的運動との関係を見いだし、東がアメリカ社会の投影とも言える海外伝道における民主化の意識の形成段階を追った。二つ目は、政権の政策形成レベルにおける民主主義の位置づけで、公文書館・各大統領図書館の未公刊文書を中心とした調査をおこなった。寺地がアイゼンハワ-期のラオス政策、上村がアイゼンハワ-・ケネディー期のボリビア政策、石井(修)が戦後期の日本占領政策を対象に詳細に調査し、今日の「民主主義」に匹敵する概念が冷戦期に積極的に利用されていた状況を確認した、三つは実務レベルで民主主義政策がとのように運用されているかで、武田がアメリカが対外援助として行っている軍の民主化教育とその影響に関して、大芝が市民社会の形成をめざした世銀の政策という枠組みとその中でのNGOの選挙支援活動の進展に関して、大津留が紛争後社会という特殊状況の中での民主化支援の方法論をめぐる議論を調査し、民主化を支援する側の技術的対応が多様化していることを見出すことができた。四つ目は、アメリカ外交が民主化政策の対象とする地域でのアメリカ的民主主義観の受入れ状況を、石井(明)が中国の対米観の多層性に、村上が憲法停止措置という独自の民主主義形態に着目し、分析の土台となる調査を行った。初年度に集まった暫定的調査結果は、国立民族学博物館地域研究企画交流センターでの共同研究会を報告の場として共有され、全体像を総括していくための次年度の調査の焦点も検討された。
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