研究概要 |
この研究では,8GeV電子蓄積リングでレーザー逆コンプトン散乱によって作られるマルチGeV偏極γ線をプローブとして用い,ハドロンやハドロン多体系(原子核)のクオーク構造,グル-ボール構造,マルチクオーク構造等の解明をする.これにより核子を含むハドロンおよびその複合系の構造を,基本的素粒子であるクオークの立場から理解することが目的である.本研究では特に8GeV電子蓄積リングでレーザー逆コンプトン散乱によって造られるマルチ8GeV偏極γ線をプローブとしてハドロン多体系の構造を解明することを目指している. 本年度は,その実験的研究を本科研費予定年度内に開始するためにブルックヘブン研究所,およびヨーロッパ軌道放射光研究所におけるレーザー設備と標識化装置を中心に調査を行った.特に安定に偏極γ線を取り出すためのレーザー制御法について,これら研究所スタッフと議論を行い,まだ達成されていない2GeV以上の偏極γ線生成に関する問題点を明確にした(岸本,丸山,須田).またこの装置を用いた実験を具体化するために,岸本が米国において講演し現地の研究者と議論を行った.また丸山,須田はマルチGeV偏極γ線を用いた核物理実験の中心課題の一つである2粒子相関実験について講演した. 光原子核反応からの生成粒子を検出するための測定装置建設を具体化するための調査は,現在GeV領域光子を用いた実験装置を持っているジェファーソン研究所(CEBAF)でおこなった.とくにジェファーソン研究所ではハイパー核に関する実験の具体的実験提案に関わり,今後の日本における実験での共同研究について話し合った. 現在レーザー逆コンプトン法を用いた実験装置の開発が平成10年実施開始を目標に,大阪大学・京都大学・東北大学を中心に精力的に行われており今回の学術調査の結果が大きく反映されている.
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