研究課題/領域番号 |
09041103
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
環境動態解析
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
上田 豊 名古屋大学, 大気水圏科学研究所, 教授 (80091164)
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研究分担者 |
岩田 修二 東京都立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60117695)
藤田 耕史 名古屋大学, 大気水圏科学研究所, 助手 (80303593)
中尾 正義 名古屋大学, 大気水圏科学研究所, 助教授 (90142695)
知北 和久 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70142685)
幸島 司郎 東京工業大学, 生命理工学部, 助教授 (60183802)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1999
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キーワード | 夏雪型氷河 / 氷河変動 / 地球温暖化 / 将来予測 / モデル開発 / ヒマラヤ / ネパール / ブータン |
研究概要 |
ネパール・ヒマラヤの広域的な氷河変動を、精密地形図、航空写真、現地調査などから氷河目録を作成して解析し、モンスーンの影響が強い東部ほど縮小の程度が大きいことが明らかになった。その中で、表面堆石に覆われた大型氷河を東ネパールのクンブ氷河と中央ネパールのリルン氷河で観測し、下流部で毎年1〜2mの氷厚減少と、その減少速度が最近25年間のうちここ数年で増加していることが判明した。表面堆石に覆われていない小型氷河の縮小については、1970年代から変動が監視されている東ネパールのAX010氷河の縮小加速機構と将来予測の研究を進め、来世紀には消滅する可能性が示された。また西ネパールで観測したリカサンバ氷河も、縮小速度が加速していることが確認され、両氷河とも世界の氷河と比較して縮小が激しいことが判明した。さらに過去の環境変化復元のため、氷河コアと樹木年輪試料を採取し、興味深い解析結果が得られつつある。 ブータン・ヒマラヤでは、これまで諸外国による現地調査が認められなかったが、本計画で初めて氷河縮小と氷河湖変動の関係についてのブータンとの共同調査が実現した。その結果、同国ではネパールに比べても氷河縮小が顕著であり、そのため氷河湖決壊洪水の危険度が増えていることが明らかになった。氷河変動の将来予測のモデル開発に重要な動力学パラメータである氷河の厚さをリルン氷河、クンブ氷河でアイスレーダーにより測定し、厚い表面堆石に覆われた下流部での測定に成功した。また表面堆石が氷河融解に与える影響をするために熱収支観測等を行い、モデルに必要な大型氷河の融解機構の研究を発展させた。さらに、気候と氷河変動の関係を解析するための基礎資料となる気象自動観測のデータがネパールのクンブ、ヒドンバレー、ショロンの各地域とブータンで取得できた。
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