太平洋赤道域の対流圏オゾン化学の研究

1997 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 09041105
• 研究機関: 名古屋大学
• 研究代表者: 近藤 豊 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 教授 (20110752)
• 研究分担者: 河村 公隆 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70201449) ; 北 和之 東京大学, 理学研究科, 助手 (30221914) ; 小川 利紘 東京大学, 理学研究科, 教授 (70011616) ; 中島 英彰 国立環境研究所, 主任研究員 (20217722) ; 小池 真 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 助手 (00225343)
• キーワード: オゾン / 窒素酸化物 / 航空機観測 / 前駆物質

研究概要

本研究では、これまで十分な観測が行われてこなかった西太平洋域や北アメリカ周辺において、アメリカ航空宇宙局(NASA)や他のアメリカの研究機関・大学と共同で、大規模かつ組織的な航空機観測を実施し、広範な領域におけるオゾンや窒素酸化物の分布、収支、人間活動の影響などを明らかにすることを目的としている。
平成9年度は、2回の航空鵬湘を実施した。最初の観測ではNASAの大型観測用航空機DC-8を使用し、アメリカNASAエームズ研究所で測定器の搭載およぴテスト飛行を平成9年10月初旬に実施した。本観測はアメリカを主な観測拠点として北半球中緯度から赤道域までの頗域において11月中旬までかけて実施した.我々の研究グループは、最も主要な成分である一酸化窒素(NO)と総反応性室素酸化物(NOy)の測定を担当し、全てのフライトにおいて高精度のデータを取得することに成功した。同時に他の研究グループにより、オゾンと他の窒素酸化物(PAN,HNO3)、他のオゾンの前駆物質である一酸化炭素や非メタン炭化水素等、30種類以上の成分の観測が実施された。観測終了後、全ての測定項目について最終値が報告され、化学成分解析グループ、気象解析グループ、モデル計算グループと共同で解析が開始された。
2回目の観測は、日本の航空械を用い、海外からの研究分担者の測定器を含めて平成9年12月下旬に測定器の搭載、テスト飛行を実施した。これは、平成10年9-10月に実施予定の西太平洋赤道域での観測に備えるものである。テスト飛行では全ての測定器が順調に作動し、成功を収めた。また平成10年度の観測のため、過去の気象データの解析などの共同研究を実施した。

研究成果

• [文献書誌] Kondo, Y., et al.,: "Profiles and partitioning of reactive nitrogen over the Pacific Ocean in winter and early spring" J.Geophys.Res.,. 102. 28,405-28,424 (1997)
• [文献書誌] Kondo, Y., et al.,: "The performance of an aircraft instrument for the measurement of NOy" J.Geophys.Res.,. 102. 28,663-28,671 (1997)
• [文献書誌] Koike, M., et al.,: "Reactive nitrogen and its correlation with O_3 and CO over the Pacific in winter and early spring" J.Geophys.Rea.,. 102. 28,385-28,404 (1997)
• [文献書誌] Kawakami, et al.,: "Impact of lightning and convection on reactive nitrogen in the tropical free troposphere" J.Geophys.Res.102. 28,367-28,384 (1997)
• [文献書誌] Thompson, A.M., et al.,: "A Monte Carlo study of upper tropospheric reactive nitrogen during the PEM-West B" J.Geophys.Res.,. 102. 28,437-28,446 (1997)
• [文献書誌] Crawford, J., et al.,: "An assessment of ozone photochemistry in the extratropical western North Pacific:" J.Geophys.Res.,. 102. 28,469-28,487 (1997)