研究概要 |
(1)二つの調査研究地域を設定した。調査地域には,変形がおこったと推定される地域であるインド大陸の東北に位置する中国の雲南省と、インドから十分はなれて変形を被らなかったと推定される北中国地塊の内蒙古自治区の二つを選んだ。二つの調査隊(A・B)を送り出した。 (A隊)12月7日〜23日:雲南省の中央部にて白亜紀・古第三紀の赤色砂岩の試料を探取した.永仁周辺にて,向斜の構造を示す永仁盆地にて古第三紀の江底河層3・4と白亜紀の江底河層1・2を29箇所で232個の試料を採取した.大姚の北部に江底河層1・2が分布し向斜の構造を示す.その地域で13箇所・計104個の赤色砂岩を採取した.試料は2月5日に日本に到着,現在古地磁気測定用の試料作成中である. (B隊)8月16日〜9月1日:赤峰の北部の大興安嶺山脈に分布する上庫力層,塔木蘭勾層のなかの溶結凝灰岩を古地磁気学と年代学の目的で3箇所計18個採取した。現在残留磁化を測定中である. (2)雲南省元謀地区で1995年に採取した江底河層1・2を赤色砂岩について古地磁気測定をおこなった.赤色砂岩の残留磁化は褶曲テストを満足し、99%の信頼度で,後期白亜紀の残留磁化を保存していることがわかった.偏角値は27度を示し,元謀をふくむ揚子クラトンの南部は変形現象を被ったことを明らかにした.
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