研究課題
国際学術研究
世界の高エネルギー加速器施設にわが国より研究者を派遣し、ビームラインの多機能化推進計画の現状について資料を収集し、技術調査をおこなった。特にビームラインのスーパーサイクル運転、高速計算機制御、早い取り出しビーム用のビームライン要素の全般、及びそれを用いたニュートリノビームの発生、二次粒子蓄積リング等について重点的に技術調査した。特にマグネティックホーン並びに早いビーム用のモニター機器については、我国において建設途中(平成10年度末までに完成予定)である新型ニュートリノビームラインへの適用をも念頭において調査した。年度後半からは、わが国の現状に最も適した多機能化ビームラインの設計のまとめをおこなった。具体的には、(1) 現在計画中のJHF加速器施設の50GeV陽子加速器(以下50GeV-PS)からの取り出しビームのためのビームライン並びに実験室を想定した。即ち、50GeV-PSにおける大強度陽子、偏極陽子、重イオンのスーパーサイクル加速と早い取り出しと遅い取り出しの一加速サイクル内での共存、早い取り出しビームによる反陽子ビームの生成と蓄積、冷却、減速といった一連の運転を可能にする加速器/ビームラインと実験室をシステムとして設計した。ニュートリノビームライン部分については上で述べたように、(2) KEK-PSに建設中の新型ニュートリノビームラインへの適用をおこなった。特にビーム強度モニター等については、今回調査した成果を生かした設計、試作がおこなわれ、実際に上記新型ニュートリノビームラインに設置した。なをこの新型ニュートリノビームラインは遅い取り出しビームラインとしても使用可能である。このような併用可能なビームラインは世界初であり、われわれの今回の調査が直ちに成果に結びついた好例である。
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