研究分担者 |
長谷川 卓 金沢大学, 理学部, 助手 (50272943)
二上 政夫 川村学園女子大学, 一般教育学部, 助教授 (50211529)
小玉 一人 高知大学, 理学部, 教授 (00153560)
重田 康成 国立科学博物館, 地学研究部, 研究官 (30270408)
横山 一己 国立科学博物館, 地学研究部, 室長 (40126628)
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研究概要 |
本調査に先立ち,ロシア研究者2名と北海道の白亜系巡検調査を実施した後,南サハリンの白亜系と一部古第三系の調査を,ナイバ川,マカロフ川.アイ川.カストローマ川のセクションで行った.また,北太平洋東岸地域の白亜系に詳しいカナダ地質調査所の研究員2名が新たに分担者として加わり,北太平洋地域における白亜系上部層の堆積相発達の比較層序学的検討も加えた.一般に,北海道を含む北太平洋地域では,白亜系最上部に向かって粗粒な岩相が卓越するようになり.堆積間隙が存在したり,広域対比に有効な化石の産出が乏しいことが多い.その傾向はサハリンでも同様であるが,サントニアン以降,カンパニアンからマーストリヒチアン中部までの生層序では,北太平洋地域でもっとも信頼できる対比基準を確立し得た.また,カンパニアン中部以降.アンモナイト動物群は地域性が著しくなるが,その点は古地磁気層序との対比によって時間目盛を入れることで,より地域的な対比基準や動物群の時代的地理的特性の把握が一層明確になった.有機物の炭素同位体比(δ13C)変化は,汎世界的な環境変動との関連や対比手段と近年注目されているが,本研究ではサハリンの白亜系泥質岩での炭素同位対比変動が明らかにされ.その有用性が確認された.さらに,砂岩の構成粒子鉱物やモナザイトの鉱物年代の検討から,サハリンの白亜系が北海道と一連の堆積盆・後背地状況にあったことが裏付けられた.白亜紀/第三紀境界については,古地磁気,炭素同位対比層序両面から再検討の余地が依然として残るが,夾炭始新統の下位,“白亜系"最上部からイチョウ属やスズカケノキ属を伴った“第三紀型"植物化石群を確認することができた
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