研究課題/領域番号 |
09041116
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研究種目 |
基盤研究(A)
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応募区分 | 一般 |
研究機関 | 国立極地研究所 |
研究代表者 |
白石 和行 国立極地研究所, 研究系, 教授 (90132711)
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研究分担者 |
小山内 康人 岡山大学, 教育学部, 助教授 (80183771)
有馬 真 横浜国立大学, 人間教育学部, 教授 (10184293)
廣井 美邦 千葉大学, 理学部, 教授 (40019427)
土屋 範芳 東北大学, 工学部, 助教授 (40207410)
本吉 洋一 国立極地研究所, 研究系, 助教授 (90211606)
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キーワード | 南アフリカ / ナタールーナマクアランド帯 / オフィオライト / 超高温変成作用 / ブッシュフェルト岩体 / 海洋島 / 付加体 / Aタイプ花崗岩 |
研究概要 |
本年度は南アフリカのナマクアランド、ブッシュフェルト、ナタール帯の3地域において調査を行った. 1)まず、ナマクアランドでは昨年の知見をもとに、超高温変成岩の産出する地域を絞り出し、試料の採集を行った.その結果、Kornerupine, grandidierite, werdingiteといったボロンに富む鉱物が泥質岩のなかから見つかった.ボロン鉱物が高温変成作用でどのような役割を果たしているのかについての研究を行っている.2)ブッシュフェルト岩体は約20億年前の巨大層状分化岩体であり、分化層序が数百キロにもわたって追跡できる.この岩体は地球上の他の地域での深成岩帯を研究する際の模式的な岩体といってよく、われわれは特にCameron Sectionと呼ばれる最下部の分化岩体を系統的にサンプリングすることができた.3)ナタール帯ではわれわれの調査結果から新たな視点からのテクトニックモデルを提出した.つまり、ナタール帯は北のカープファールクラトンへオブダクトした、かっての海洋性島弧にほかならず、北端部の地層(Mfongosi and Ntingwe Groups)はカープファールクラトンの縁辺部に堆積した大陸棚堆積物を構成していたと考えている.北部のツゲラ帯は海洋性島弧の火成岩体やオフィオライト、海洋島の玄武岩類島の付加体をなしている.中〜南部ナタール帯において、広範に分布するAタイプ花崗岩類は中-下部地殻を示していると考えられ、おそらくナタール島弧がクラトンに衝突したあと、スラブがはがれて地殻下部にアセノスフェアが直接、接して熱を供給した結果溶融して形成されたものと考えている.今後、系統的にサンプリングした花崗岩のSHRIMPによる年代測定により、ナタール帯の形成史に正確な時間軸を与える予定である. さらに、最終年度であるため、取りまとめのためのワークショップを3月に東京でひらき、同時に若い地質時代の島弧形成史との比較のために丹沢山地と箱根火山において現地討論会をおこなった.ワークショップには本研究に参加してきた内外の研究者や学生らの約25名が参加し、14編の話題が提供された.
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