研究分担者 |
季 厚〓 韓国機械研究院, NCセンター, 部長
RAHMAN Musta 国立シンガポール大学, 工学部, 副教授
水野 順子 アジア経済研究所, 動向分析部, 研究主任
松本 厚治 (財)産業研究所, 国際経済研究センター, 所長
新野 秀憲 精密工学研究所, 助教授 (40196639)
LEE Husang Korea Institute of Machinery & Metals, Machine Tool Group, Senior Researcher
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研究概要 |
本研究は,生産文化論に係わる研究・技術開発課題の中で商品化例が多く,関連する学術研究が活発化している文化・風土適応形工作機械の調査研究と試作設計について取り扱ったものである.特に,実態解明が急務であるアジア諸国向き工作機械に的を絞って,商品化例にみられる生産文化的設計仕様を解明するとともに,今後具備させることが望ましい文化・風土的設計属性の分析,更には,それらを基に次世代のアジア形工作機械の基本的な構造要素である主軸系とテーブル駆動系に対して試作設計を行っている.まず,アジア諸国で一般的に要求される文化・風土的属性をまとめた結果,「宗教への配慮」という社会環境に関するものから「ブランド名のある部品やユニットを組込んだ機械に執着」というユーザの性癖,さらに「機械の個体差に配慮した利用技術」という高度な技術に関するものにまで及ぶ属性が考えられていることが明らかになった.さらに,これらは,文化・風土性の強さとあいまいさによって整理することが可能で,二次元的に広がる階層性を有していることが明らかになった.ところで,研究期間の間に行った文献,聞き取り,並びに実地調査,更には商品化或は試作中の機械についての調査結果によると,アジア形工作機械として当面期待されているのは,最下層の文化・風土的設計属性を重視する「地域調和形」であり,具体的には「ユーザの立場を考えた「操作性の良さ」とメーカの立場を考えた「製造の容易さ」であった.そこで,実際に「部品点数の削減」を考慮した「内輪一体化主軸」を設計・試作した.そして,その静的特性を評価したところ,静止状態における減衰能が在来の内輪付き主軸よりも大きいという良好な結果を得た.さらに,「一方向組立性」を考慮した構造のテーブル駆動系として「ラック-ピニオン駆動方式テーブルシステム」を提案し,具体的に設計を行った.
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