中国の酸性大気汚染物質モニタリングに適する簡易測定器の開発と調査

1998 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 09041126
• 研究機関: 徳島大学
• 研究代表者: 伊永 隆史 徳島大学, 総合科学部, 教授 (30124788)
• 研究分担者: 揚 屹 中国北京化工大学, 応用化学系, 副教授 ; 張 新祥 中国北京大学, 化学学院, 副教授 ; 池田 早苗 徳島大学, 工学部, 教授 (20035801) ; 水野 建樹 工業技術院資源環境技術総合研究所, 環境影響予測部, (研究職)部長
• キーワード: 中国 / 簡易測定 / 大気汚染 / 酸性雨 / モニタリング / 硫黄酸化物 / 窒素酸化物 / パッシブサンプラー

研究概要

本年度は初年度に選定した最適なSOx、NOx簡易測定用のパッシングサンブラーについて、中国各地で試験的に収集した簡易測定データを集積し、第一次の特性評価結果をとりまとめた。
その際、実際の簡易測定器使用時に起こった問題点を洗い出し、中国側で対応できる技術的パックグラウンドと、日本側で対応が必要な技術協力・技術移転や支援対策について、中国側と十分に摺り合わせを行う必要があった為、瀋陽周辺等の中国寒冷地への適応を念頭に置いて、TEA凍結対策とパッシングサンプラーのSOx、NOxを吸収性能について機能評価を行った。同時に、亜熱帯に近い広州周辺でも、温度、湿度等を十分配慮に入れながらパッシングサンプラーによりSOx、NOxを簡易測定する場合の特性評価を試みる必要がある。中国都市部の呼吸器系疾患との相関、また太平洋側都市部や日本海沿岸部の酸性雨・雪現象との相関などの解析を可能な限り試みた。さらに、欧米の先進国でも酸性雨等の越境環境対策で、SOx(SO_2)やNOx(NO+NO_2)に関わる観測を低コストで実現できる精巧なパッシングサンプラーに関する新知見を基本にして、連続的なモニタリング機能を重視して、SOx連続測定の可能な液滴法やフィルム巻取り方式のパッシングサンプラーの開発も合わせて基礎検討を行う。北京大学が中核となって中国各地にSOX、NOxモニタリングシステムと観測網を設置して、パッシングサンプラーで取得できる簡易測定データの品質管理システムを整え、第二次評価の実施準備を行った。

研究成果

• [文献書誌] 伊永隆史: "室内外環境汚染とモニタリング" 日本学術会議第14回環境工学連合講演会講演論文集. 14. 25-32 (1999)
• [文献書誌] Korenaga,T.: "Passive Sampler as a Simple Indoor/Outdoor/Personal Air Pollution Monitoring Device" Proc.4th Asian Symposium on Academic Activities for Waste Management. Aug.19〜21. 27-31 (1998)
• [文献書誌] Korenaga,T.,Yamauchi,T.,Hara,C.: "Development of a Passive Sampling/Atmospheric Analysis Device Using Droplet Method and Its Microfabrication" Proc.4th Asian Symposium on Academic Activities for Waste Management. 4. 63 (1998)
• [文献書誌] Korenaga,T.,Shintani,Y.: "Passive Sampler Technology For Simultaneous SO_2,NO_2 Monitoring" Proc.Atmospheric Sciences and Applications to Air Quality 6th International Conference. 2. 33-34 (1998)
• [文献書誌] Yang,Yi.,Zhang,Xinxiang.,Korenaga,T.,Shintani,Y.: "Monitoring of SO_2 and NO_x by Passive Samplers in China Cities" Proc.Atmospheric Sciences and Applications to Air Quality 6th International Conference. 2. 36 (1998)
• [文献書誌] Korenaga,T.: "Simultaneous SO_2,NO_2 Monitoring With Passive Sampling and Advanced Micor-Sensing Devices in China" Proc.International Forum on the Measurement and Environment. 2. 1-10 (1998)
• [文献書誌] 檜山為次郎、澤田嗣郎、伊永隆史: "日本化学会季刊化学総説No36,光化学の基礎と先端研究" 学会出版センター, 275 (1998)
• [文献書誌] 檜山為次郎、澤田嗣郎、伊永隆史: "日本化学会季刊化学総説No39,透明ポリマーの屈折率制御" 学会出版センター, 232 (1998)