研究課題
1.大阪府立大学の当研究室が既に開発・基礎検討を行ったアルコールの高感度分析法(ガス状アルコールを亜硝酸エステル化し、GC-ECDで分離・定量する分析法)について、実環境大気への適応における技術的な検討を行い、実用分析手法として技術的に確立した。2.アルコール添加の代替燃料(ガソホール)の使用がもたらす大気汚染の実態、とくに未燃のアルコールやガソリン由来の炭化水素類及び不完全燃焼由来のアルデヒドの大気中濃度、を把握するために、大阪での測定を実施するとともに、98年1月末〜2月中旬にかけて米国のロサンジェルスとサンパウロ(実施計画段階ではリオデジャネイロを予定。その後の資料調査から、大気汚染はサンパウロも同程度かリオよりもひどいこと、またNOxやCO・SPM等の監視体制がサンパウロ市の方が整っていること等が判明したので、調査地点をサンパウロに変更。)で、アルコール、アルデヒド、炭化水素類、及びNOx・SO2・NH3分析のための大気試料採取を行った。ブラジル国立バイア大のTavares教授グループにアルコール分析手法の移植を図るとともに、今回のブラジルでの調査時に双方のアルコール分析法とアルデヒド分析法についての相互校正実験を実施した。4.日本に大気試料を持ち帰った試料の予備的な分析結果から、エタノールを22%混入した燃料を使用しているブラジルでは大気中エタノール濃度が大阪やロサンジェルスに比べて5-10倍高いこと、大気中のアセトアルデヒド/ホルムアルデヒト濃度比がブラジルでは高く、エタノールの不完全燃焼由来のアセトアルデヒドの寄与が相当高いこと、炭化水素の成分分布が日本やアメリカと異なること、等が明らかとなった。5.アルコール代替燃料の使用に伴う大気汚染の状況をシミュレーションするために、光化学大気汚染の化学反応モデル系を構築した。