研究課題
1. 既に前年度までに技術的に実用化を達成したアルコールの亜硝酸エステル化反応を利用した大気中アルコールの高感度分析法について、連続測定にも使うべく、連続流通法への応用を検討した結果、ほぼ実用できる目処がついた。2. 前年度ブラジルのサンパウロおよびサルバドールと合衆国のロサンジェルスで実施したアルコール及びその酸化反応生成物であるアルデヒドの測定結果(ブラジルでは対照として調査した大阪やロサンジェルスに比べて高いアルコール濃度を示す、ホルムアルデヒドに対するアセトアルデヒドの相対的な存在量が高いという特徴)を追試すること、及び両地におけるそれらアルコール由来の汚染物質の季節変動を把握するべく、今年度は前年度とは逆の季節(北半球の夏季、南半球のブラジルでは冬季にあたり接地境界層の発達により高濃度大気汚染が起き易い季節にあたる)、8〜9月に前年度とほぼ同様の測定を行った。ブラジルでは1〜2月のデータに比べてアルコール濃度は必ずしも高いとは限らなかった。これは境界層の発達が今年度は十分ではなかったことに加え、この時期は雨季の始まりの季節にあたり、大気中アルコールが蓄積しにくいことが原因になっている可能性も考えられた。3. 携帯用簡易型アルコール分析器をブラジルに携行し、アルコール燃料自動車からの排ガスを直接分析し、排ガス中のアルコール濃度の分析を行った。この方法では排ガス中の高濃度の水分が除去されないために精度の良い分析ではないが、アイドリング時のアルコール濃度が約100から600ppm程度もあることが分かった。さらに、アルコールの含有率が100%の自動車に比べてエタノールが22%含有のガソホールで条件によっては高い濃度のアルコールが検出されることも分かった。4. ガソホールの液体試料を持ちかえり、GC/MSにかけることにより、炭化水素の成分分析を行い大気中炭化水素濃度との比較を行う。5. ステンレスキャニスタによる炭化水素類の採取・保存を試みるとともに、アルコールのGC/MS分析の可能性と亜硝酸エステル化法とのクロスチェックを行った。現在解析を進めているところである。
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