研究概要 |
1997年度の調査研究において明らかになった点を列記すると次の通り。 (1)対象地:調査対象湖沼のパヤオ湖はタイ北部の古都チェンマイから約100km東部に位置する面積18.22km^2の天然湖沼である。これを水源とするパヤオ水道事業所は地方水道公社(PWA)傘下にあり、600m^3/hをパヤオ湖から取水して急速砂ろ過システムにより8,000の水道メータを管理運営している。 (2)パヤオ浄水場('94.10〜'96.9)原水水質の特徴:色度5〜6、濁度14〜16、pH7.1〜7.5、総アルカリ度52〜53、鉄0.35〜0.55、Mn0.08〜0.11、COD13.5〜16.4(単位;pH以外はmg/l)などで、パヤオ湖水中にはミクロキステス種、メロシラ種が卓越種となっている。 (3)ろ過閉塞の実態調査:ろ過池は12〜14hごとに逆流洗浄のみによる再生を行っている。実際池で実測した沈殿池処理水の濁度は2mg/l。損失水頭は実測していないので不明。前塩素処理で鉄マンガンは良好に処理されている。調査時期は雨季であるので明確なろ過閉塞現象が生じているとは判断しがたい。 (4)閉塞状態、再生の実態調査:ろ過砂を採取して分析すると、ろ層深さ40〜50cmの砂であっても砂層表面の10^<-1>〜10^<-2>程度の抑留が認められる。しかも逆流洗浄(約10分)後にも砂がきれいに再生されることはなかった。これは、閉塞の問題よりもろ層の再生法に大きな問題があると考えられ、今後十分な原因調査が必要である。 (5)異臭原因藻類種の同定:パヤオ湖および浄水場内沈殿池に浮上していたスカムの藻類を詳しく同定した結果、異臭味を発生するアナベナ種、リングビャ種、ミクロキステス種、フォルミデウム種、オシラトリア種などが検出できた。これらを種として発臭性を今後検討していく。
|