研究課題/領域番号 |
09041131
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研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
田中 直人 摂南大学, 工学部・建築学科, 教授 (60248169)
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研究分担者 |
大野 治代 大手前女子短期大学, 生活文化学科, 助教授
一棟 宏子 大阪樟蔭女子大学, 学芸学部, 教授
岩田 三千子 摂南大学, 工学部・建築学科, 助教授 (70288968)
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キーワード | 高齢者 / 障害者 / サイン / バリアーフリー / ユニバーサルデザイン |
研究概要 |
高齢者および障害者を考慮した歩行者用のサインの実態について、デンマークおよびスウェーデンにおいて、駅や空港等の関連施設および広場や道路等の状況を観察調査するとともに、大学や研究機関の関係者にヒヤリング調査を実施し、以下の知見を得た。 1.基本的にはサインの設置にとどまらず、移動空間を始め、必要な個所において、バリアーフリーの配慮が行き届いている。 2.バリアーフリーの内容としては車いす使用者を中心としている点はわが国と大差はないが、古い建物が多いので、部分的にはわが国における整備状況の方が進んでいるように見受けられた。 3.視覚障害者に対するサインとしての誘導用ブロックは一部の交差点や駅構内で設置されていたが、きわめて限定した利用であった。専門的施設の事例では視覚機能を活用した環境デザイン的な試みがあり、すべて誘導用ブロックに依存しようとするわが国の状況と対照的である。 4.サインの記号としての表現や、不特定多数の利用する空間ですべての人にわかりやすいという基本に忠実に、その大きさや親しみやすさのデザインに工夫が見られる事例も多かった。とりわけ、国際化の進展に対応した空港での配慮が参考になった。 5.においを利用したハ-ブの庭園での誘導の試みなどは、一般に利用者にとっても魅力的で、このような感覚を活用する環境デザインの開発の可能性や必要性が確認できた。 6.基準としてのサインの整備グラフィカルな面に重点が置かれ、これに関する資料も多かったが、空間の構造条件を考慮したきめ細かい計画が必要と思われた。 7.国内でのサインの整備状況について調査し、海外でのサインとの比較考察を試みたがサインに対するデザインとしての位置づけや扱いにおいて、わが国におけるものより、人にやさしく、サインの役割を重視しているようである。 次年度は、高齢者・障害者だけでなく、すべての人にとって有用なサインのあり方を、ユニバーサルデザインの視点から検討するために米国において調査を行う予定である。
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