研究分担者 |
RAO P.R.M. インド, CSRTI・多化性, 研究室長
鐘 伯雄 中国, 浙江大学・蚕学系, 助教授
伴野 豊 九州大学, 農学部, 助教授 (50192711)
村上 征勝 統計数理研究所, 領域統計, 教授 (00000216)
小林 正彦 東京大学, 農学部, 教授 (60162020)
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研究概要 |
平成10年度は,中央アジアのウズベキスタン共和国および南アメリカ大陸のブラジルにおいて,蚕品種・系統・蚕糸絹業の事情について調査した。 ウズベキスタンは,シルクロードの中央に位置し,古くから養蚕が行われてきたが,旧ソ連時代に経済的価値があると考えられた1化性4眠蚕の実用系統は保存されているものの,地域品種は無用の長物として処分されてきた。タシケントをはじめとする2〜3研究所には,現在遺伝資源として約180種が保存されている。これらは,中央アジア以外にヨーロッパ,中国,日本インド,ザガブカスなどから導入されたものだそうである。また,これらの蚕品種は,交換以外の手順では国外へ持ち出すことは禁じられているので,資料の収集は,極めて困難であった。さらに,タシケント,フェルガナおよびサマルカンド地方で野蚕(クワコ)の探索を試みたが,その存在は確認できなかった。ちなみに現地の研究者によると,ウズベキスタンにはクワコはいないとのことであった。 一方,ブラジルにおいては,ブラタク製糸株式会社およびカネボウシルク・ド・ブラジル株式会社の協力を得て,サンパウロ州とパラナ州で調査した。ブラジルの養蚕は,日本からカイコが導入される前にイタリアから導入された経緯があるが,それらの系統は確認できなかった。現在のカイコは,日本から極めて新しい時代に導入・育成された2化性4眠蚕のみで,経済価値のある実用系統のみが保存されていた。また,ブラジルでも野蚕(クワコ)は存在しなかった。
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