研究概要 |
モンゴルでは,気候的な乾湿の環境傾度にそって多様な草原植物群集が成立している.本研究では,草原群集を構成する植物種の物質生産機能を明らかにすることを通して,地域の乾燥化と草原群集の関係を明らかにすることを目的としている.本年度は,まず植生の把握を中心に行った.7月19-26日の間に,ウランバートルから南に約300kmの間の7地点で植生の調査を行った.この結果,北の湿度が高い地方ほど植被率が高く,種多様性が高いことが明らかになった. さらに,調査地点に出現していたすべての種を3個体づつ採取し,現地で乾燥した.これらのサンプルを現地から持ち帰り,窒素含量と炭素安定同位体比の解析を行っているが,サンプル数が膨大(約500)なため,結果はまだ出ていない. 1・2月にNiinemets博士に来日してもらい,博士が発表した資源利用についてのモデルのレクチャーを受け,サンプルの処理方法について議論した.現在,彼の提案する方法にしたがって解析を進めている. 研究代表者は3月13-19日にスペインのバルセロナで開催された,地域変化と陸域生態系に関する国際研究会議GCTE-LUCCに出席し研究発表を行った.3月20-23日にはオランダユトレヒト大学で植物群集の生産構造の解析に関する情報および意見交換を行った.
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