研究分担者 |
高田 克彦 九州大学, 農学部, 助手 (50264099)
松井 淳 東北大学, 理学研究科, 助手 (30281976)
能城 修一 農水省森林総合研究所, 木材利用部, 室長
高橋 晃 姫路工業大学, 自然環境科学研究所, 教授 (30244693)
御影 雅幸 金沢大学, 薬学部, 教授 (50115193)
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研究概要 |
平成10年6月14日〜7月11日まで中国を訪れ,福建省武夷山域に入山した.折しも中国南部地域は豪雨,長雨により大小河川が氾濫し,また山城では随所に土砂崩れ,道路,橋の流失が起き,行動は難渋を極めた.その様な悪条件にも関わらず,約3週間の植物調査を行い,1580点のさく葉標本,390点のDNA分析試料,210点の木材標本金収集した.これらについては現在尚同定作業は進行中であるが,今までのところ83科約200種が同定されている.現在,同定作業と平行してこれらの木材試料からの顕微鏡用プレパラートの作成,DNA用試料からの全DNA抽出,目的領域の増幅を行い,塩基配列の解読を始めている. 平成11年1月4日から29日まで,オーストラリア西南部のパース近郊,タスマニア島などで現地調査および試料の収集を行った.特にオセアニアで高度に適応放散しているEpacridaceaeに着目し,それが極めて多様化しているパース付近およびタスマニア島で詳細な調査を実施した.1200点におよぶさく葉標本,600点近いDNA分析試料,240点ほどの木材試料を得たが,このうち,Epacridaceaeは167点,19属57種を収集した.その中には生活形が芝のように地表を這う草本状の低木から,ツツジの仲間のような通常の低木,そして,まるで単子葉類のヤシのような生活形をしたRicheapandanifoliaのように多様な生活形に分化している.更に地中海式気候のパース付近ではこの類が冬季に開花するのに対し,日本同様夏雨型のタスマニアでは夏期に開花する種が多いなど,地理的に分化を遂げていることも明らかになった.現在,これらの試料について分子系統を明らかにすべくDNAの抽出を行う一方,極端に違う生活形をもたらす茎頂構造の違いなどについて解剖学的に検討を始めている.
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