研究課題/領域番号 |
09041145
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生態
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
藤井 宏一 筑波大学, 生物科学系, 教授 (00114124)
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研究分担者 |
津田 みどり 九州大学, 農学部付属生物的防除研究施設, 助手 (20294910)
徳永 幸彦 筑波大学, 生物科学系, 講師 (90237074)
嶋田 正和 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (40178950)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1999
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キーワード | マメ / マメゾウムシ / 寄生蜂 / 群集 / 系統解析 / DNA分析 / 共進化 |
研究概要 |
生物群集の成り立ちを理解する上で、構成種の系統関係が被食-捕食の連鎖構造(群集構造)にどのような効果を及ぼしているかは、生態学の重要な研究テーマの一つである。しかし、栄養段階が多階層からなる群集で、構成種の系統の効果を調べた研究はまだ先例がない。このような現状に鑑み、我々は本研究を、世界で初めてDNA系統解析をもちいて、多階層の栄養段階をもつ群集構造の共進化的な生成過程の解明を目的として計画した。 マメ科植物-マメゾウムシ科(種子捕食者)-寄生蜂の群集は、マメ科種子を介して成立する生物群集であるが、研究材料としては、種子を採集して虫の羽化を観察しさえすれば、被食-捕食の関係を正確に把握できるという利点がある。また、マメ科植物の種子はさまざまな毒(化学)物質を含むため、マメゾウムシの寄主範囲は、その解毒作用が通用する相手に限られている。それゆえマメ科植物-マメゾウムシ科の関係では、系統的(歴史的)効果が強いと期待される。さらに、寄生蜂も種子内のマメゾウムシ幼虫に対しては寄生しづらく、そのためマメゾウムシの寄生蜂相は比較的単純である。よって、この群集は3栄養段階を含むにもかかわらず、自然界の群集構造を共進化の観点から研究する際に、ほどよい単純さを提供する。 種子の調査地としては、旧大陸では台湾・タイ・バングラデシュ・ニジェール・カメルーン、新大陸ではアリゾナ・メキシコ・仏領ギアナ等を対象とした。いずれもマメ科とマメゾウムシが豊富で、本研究の開始に先立ち、すでに現地協力体制を確立してあった地域である。この他インド・中近東・欧州に関しては、現地の研究者から種子を採集して送ってもらうことにより、本研究計画の拡充を図ることにした。 採集したマメから羽化したマメゾウムシと寄生蜂は、寄主(マメまたはマメゾウムシ)を記録して標本にし、さらに生きた成虫をアルコール漬けにしてDNA分析用資料とした。マメゾウムシの標本は協力者のC.D.Johnson(北アリゾナ大教授)へ、寄生蜂はCasasへ、マメ科標本はJohnson及び立石(琉球大学助教授)に依頼して、それぞれ種を同定してもらうことにした。虫のアルコール漬け試料は、Cox-I・Cox-II・ND5などのmtDNA領域で、PCR-RFLP法とシーケンサのDNA情報を基に系統樹を作成することにした。マメ科植物の系統樹はrbcLの塩基配列データベースをもとに行なったが、配列情報がない種は、協力者の横山(東北大・助手)に依頼した。 これらの解析を基に、被食者-捕食者の対応関係(群集構造)を、その分子系統樹の対応と比べる。
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