研究課題/領域番号 |
09041150
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
見上 彪 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (20091506)
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研究分担者 |
宮沢 孝幸 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (80282705)
遠矢 幸伸 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (30021702)
望月 雅美 共立商事(株), 臨床微生物研究所, 所長 (90157834)
小野 憲一郎 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (50111480)
高橋 英司 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (50183439)
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キーワード | ベトナム社会主義共和国 / ネコ免疫不全ウイルス / ネコ白血病ウイルス / ネコパルボウイルス / ネコ巨細胞形成ウイルス / ネコカリキウイルス / ネコヘルペスウイルス1型 / ベンガルヤマネコ |
研究概要 |
本研究はベトナムに存在する各種食肉類(ネコ目)から、レトロウイルスを分離、同定し、既知のレトロウイルスとの比較において、レトロウイルスの起源の解析を試み、さらにレトロウイルスの浸潤状況を把握し、我が国に棲息する野性ネコ目も含めたネコ目の保全に寄与することを目的とする。本年度はハノイ近郊で2回学術調査を行い以下の成績を得た。 家ネコ69頭、ベンガルヤマネコ9頭より採血を行い、ネコ免疫不全ウイルス8FIV)、ネコ巨細胞形成ウイルス(FSV)に対する抗体およびネコ白血病ウイルス(FeLV)のウイルス抗原を、ELISA法または間接蛍光抗体法にて調べた。FIVおよびFeLVは家ネコ、ベンガルヤマネコともに陽性例は見られず、病原性のあるレトロウイルスに感染しているネコおよびヤマネコは、ハノイ近郊では存在してもごく低い割合であることが示唆された。FSVに関しては、家ネコの20頭(29%)、ヤマネコの5頭(71%)が抗体陽性であり、非常に高い陽性率を示した。そこで家ネコの7頭から、ヤマネコの2頭からFSVを分離し、遺伝子解析を行った。ベトナムのFSVは1株を除いて、1つのクラスターを形成し、家ネコ由来のFSVもヤマネコ由来のFSVも遺伝的に同一のンクラスターに属し、相互にウイルスが伝搬しているか、あるいは過去に伝搬した可能性が示唆された。また、レトロウイルス以外にも、ネコヘルペスウイルス1型(FHV-1)、ネコカリキウイルス(FCV)、ネコパルボウイルス8FPV)に対する抗体を調べた。FHV-1は家ねこの1頭(1.4%)、ヤマネコの1頭(11%)に陽性例が見られ、非常に低い陽性率であった。一方、FCVは家ネコの27頭(39%)、ヤマネコの3頭(33%)が陽性であり、FPVに対しては、家ネコの35頭(50%)、ヤマネコの7頭(78%)が陽性であり、非常に高い陽性率を示した。
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