研究課題/領域番号 |
09041158
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小山 直樹 京都大学, 大学院・アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (40027496)
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研究分担者 |
川本 芳 京都大学, 霊長類研究所, 助教授 (00177750)
相見 満 京都大学, 霊長類研究所, 助教授 (50101241)
高畑 由紀夫 関西学院大学, 総合政策学部, 教授 (90183061)
平井 啓久 京都大学, 霊長類研究所, 助教授 (10128308)
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キーワード | マダガスカル / ワオキツネザル / 形態計測 / DNA分析 / ミトコンドリアDNA / テロメア配列 / 染色体進化 / メス間の競争 |
研究概要 |
平成11年度には計7名がマダガスカルで現地調査をおこなった。研究協力者の市野は、ワオキツネザルのオスの社会関係と交尾行動について調査をおこない、もう一人の研究協力者の宮本とともに正確な出産日時を調べて、妊娠期間の長さが約137日であることをつきとめた。これらの調査をふまえ、1999年11月には14.2ヘクタールの主調査地内に行動域をもつ6群(C2A、C2B、C1、CX、T1、T2)98頭のうちの95頭(捕獲率97%)及び追従オスなど全部でワオキツネザル103頭とチャイロキツネザル12頭、ベローシファカ7頭を捕獲し、体重測定、形態計測、採血などをおこなった(小山、相見、川本、平井、郷:研究協力者)。相見は雌雄差、成長様式の分析をおこない、個体の年齢を推定する方法の開発に取り組んでいる。川本は採取した血液試料からDNAを抽出し、母性遺伝するミトコンドリアDNAには4種類のハプロタイプがあること、単一母系を起源とする群れと複数母系から成る群れがあることを明らかにした。さらにオスの繁殖成功度を検討するため、マイクロサテライトDNAの分析を進めている。平井と郷は、マダガスカルのキツネザル類17種の染色体におけるテロメア配列の分布特性をPRINS(primed in-situ labeling)法を用いて解析し、テロメア配列が染色体に必須な機能領域である染色体末端だけでなく、それ以外にも介在していることを明らかにした。そしてその形成機序の特徴から染色体進化機構について考察をおこなった。高畑はCX群の行動や繁殖についての資料を分析し、(1)個体群密度の上昇にともない、出産率が減少する傾向があること、(2)個体群密度と幼児死亡率には相関がないこと、(3)メスの順位と出産率は、大きなサイズの群れで相関し、小群では顕著な差はなかったことなど、繁殖パラメーターにかかわるメス間の競争について考察をおこなった。
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