研究課題/領域番号 |
09041160
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
加納 隆至 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (40045050)
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研究分担者 |
橋本 千絵 京都大学霊長類研究所, 研究員
金森 正臣 愛知教育大学教育学部, 教授 (70015585)
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キーワード | チンパンジー / ボノボ / 分布域 / 生息環境 / 種内異変 / 生息地利用 / 集団構成 / 乾燥疎開林 |
研究概要 |
平成10年度は、タンザニアのルクワ、フィラバンガ、ウガラの3地域(加納・金森が担当)とウガンダのカリンズ森林(橋本・田代が担当し、加納が短期参加)で現地調査を行った。ルクワ地域はアフリカにおけるチンパンジーの南限を構成する。その分布限界は不明であったが、本年度の調査で、南のルアンジ川から北のワンペンベ付近までの各水域の川辺林を中心に生息していることがほぼ明らかになった。フィラバンガ地域では、全域をカバーするネストセンサスと、オープンランドと川辺林にまたがる植生調査を行った。フィラバンガ盆地は、タンザニアにおけるいわゆるサバンナチンパンジーの分布の中心的地域で、30年前に加納によって調査が行われている。現在も植生には人間の直接の痕跡はほとんど見られなかったが、ファウナには、季節的移動を行う大型哺乳類の空洞化が認められた。ウガラ地域では、昨年度に引き続き、チンパンジーの生態的データと動物環境とくに齧歯類を中心とする小哺乳類の分布と密度に関するデータが収集された。ウガンダのカリンズ森林では、チンパンジーの人付け・個体識別が前進し、直接観察が飛躍的に増大し、社会行動や集団構造に関する研究も可能になった。アリ釣り、肉食などのまれな行動も観察されている。糞分析・果実量センサスを含む植物季節学的調査により、チンパンジーの生態と生息地利用の研究も進めた。糞や食物ワッジによるDNA分析も進捗中である。また、ロエストモンキーとブルーモンキーを中心とする森林性霊長類の観察をおこない、チンパンジーとの社会学的・生態学的比較研究を進めた。ロエストモンキーは、森林内での地上利用が多く観察が困難なため、先行研究も少ないが、今回の調査で人付けが進み、数メートルの距離からの観察も可能になり、生態学的・社会学的データが相当に集積された。
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