研究概要 |
1)平成9年度はタイのバンコック、インドネシアのジョクジャカルタ、スラバヤ、デンパサール、マタラム、10年度はバンジャルバルン,マロス,ジャヤプラ,オーストラリアのブリスベン平成11年度フィリピンのマニラ、ロスバンノス、レガシピ、タイのチェンマイを中心に昆虫とそれに寄生する原生動物の調査を行った。熱帯雨林内の昆虫相は予想したより貧弱であったので開けた原野及び森林の周辺で採集をした。環形動物貧毛類は多く採集できなかった。直翅目とトンボ目及び鞘翅目昆虫を中心に採集した。トンボ目のCrocothemis servilia servilia(Drury),Ischnura senegalensis(Rambur),Pantala flavescens(Fabricius),Diplacodes trivialis(Rambur),Orthetrun sabina sabina(Drury),直翅目Oxya sp.Atractomoropha sp.Acrida turrita,Trilophidia sp.は広い範囲に分布していた。これら昆虫の中に寄生していた寄生性原生動物のグレガリナ類はAncyrophora属、Hoplorynchus属、Odonaticola属、Gregarina属、Leidyana属、Coronoepimeritus属に属するもので多数の未記載種を含んでいた。2)境界があるとすればウォレスラインより東によった部分にあると思われる。東南アジアに分布する直翅類及びトンボ目昆虫のファウナに関しては類似性が高いが、イリアンジャヤ、オーストラリアのファウナは相違する部分が大きい。昆虫及び原生動物のファウナに関しては日本との共通性もある。一部昆虫に関しては日本との共通性もある。一部昆虫に関しては農作物等の伝搬に伴って領域を広げたのではないかと考えられる部分もあった。 3)藤島等は東南アジア、オーストラリアでゾウリムシParamecium caudatumの採集を行い標準株と混合し交配反応性の有無を調べsyngenの同定よりこの地域のファウナノ特徴を調べた。その結果、オーストラリアで採集された相補的接合型株がどの標準株とも反応しない新たなsyngenであることがわかった。
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