研究課題/領域番号 |
09041164
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
矢原 徹一 九州大学, 理学部, 教授 (90158048)
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研究分担者 |
大井 和之 京都大学, 生態学研究センター, COE研究員
OYAMA Ken メキシコ国立自治大学, 準教授
副島 顕子 大阪府立大学, 総合科学部, 助手 (00244674)
渡辺 邦秋 神戸大学, 理学部, 教授 (80031376)
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キーワード | 有性生殖 / 無性生殖 / ステビア / メキシコ / 1年草 / ITS / 進化速度 |
研究概要 |
ステビア属はヒヨドリバナ属に近縁なキク科植物である。その文化の中心地メキシコでは88種が報告されている。これらは、木本、多年草、1年草を含み、また他家受粉、自家受粉、無性生殖を含む。本研究のゴールはこれらの種の系統関係をDNA情報を用いて推定し、生活形と交配システムの進化にどのような相関関係があるかを解明することである。そのための資料収集を行うことが、本研究課題の目標である。本研究課題については、当初3年間の研究計画を申請したところ、そのうち2年間の実施が認められ、平成7、8年度の2年間科研費の交付を受けた。交付が2年間に短縮されたため、平成7年度の2回の現地調査では、当初の計画よりも広範囲で野外調査を実施し、その結果メキシコ産88種のうち、56種を採集することができた。しかし、やはり2年間で目的を達成することは困難であった。本年度の調査の結果、新種を含む重要な研究材料が収集でき、以下に述べるような研究成果が実現した。 (1)7種を新たに採集し、さらに少なくとも6つの新種の新種を採集した。 (2)これまで倍数体無性型のみが知られていた5種に2倍体有性型の存在を確認した。これは今後の有性型・無性型の比較研究にとって大きな成果である。 (3)ITSによる系統解析の結果、以下の新事実が見い出された。 ●同種の有性型と無性型のペア間にはほとんど変異がなく、どの種においても無性型の起源は比較的最近のできごとである。また、交雑ではなく同質倍数体起源である。 ●1年草種では、多年草種・低木種に比べ、分子進化速度が約10倍速い。 ●底木種は単系統だが、1年草は多系統である。 低木種・1年草では無性型は進化していないが、多年草では平行的に繰り返し無性生殖が進化した。
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