研究課題/領域番号 |
09041167
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研究種目 |
国際学術研究
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応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 国立科学博物館 |
研究代表者 |
大和田 守 国立科学博物館, 動物研究部, 室長 (40113419)
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研究分担者 |
上野 俊一 国立科学博物館, 名誉研究員 (00000109)
野村 周平 国立科学博物館, 動物研究部, 研究官 (80228361)
小野 展嗣 国立科学博物館, 動物研究部, 主任研究官 (50167326)
友国 雅章 国立科学博物館, 動物研究部, 室長 (90110105)
篠原 明彦 国立科学博物館, 動物研究部, 主任研究官 (50183835)
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キーワード | ベトナム / 東アジア / 昆虫 / クモ / 甲殻類 / ファウナ / 分類 / 生物地理 |
研究概要 |
1、平成9年度は6月16日から7月15日までベトナム北部のサバ(標高1,500-2,000m)、ソンラ-(800-1,400m)、タムダオ(900-1200m)、ククフォン(150-350m)、クエフォン(300-500m)などの地域で蛾類、半翅類、甲虫頬、ハエ類を中心に調査を行ない、9月26日から10月25日までタムダオ、ククフォン、サパ、バ-ベ-(300m)などの地域で、甲殻類、クマムシ類、クモ頬、蛾類の調査を行ない、多くの資料を収集した。 2、タムダオで採集されたもっとも原始的なクモ、ハラフシグモ科の一種は、日本にも分布するキムラグモ属の新種で、本属の分布の南限となる。スマトラからマレー半島、ミャンマー、タイからラオスにまで生息するハラフシグモ属と分布が重なるかどうか、今後の調査の成果が期待される。 3、本調査で得られた多数の標本をもとに、ヤガ科のOchrotrigona属の系統的位置が再検討された。従来この属はクチバガ亜科のものとみなされていたが、実際はクルマアツバ亜科の一員で、この亜科を特徴付ける鼓膜器官の形態のみがクチバ亜科と類似しているとう事実が指摘された。 4、オニヤンマ亜科のトンボ3種の採集品が記録された。このうち、稀少種Anotogaster klossiは本属最大とされ、雌しか知られていないが、今回の個体も雌であった。雄の発見が待たれる。 5、以上のほか、本調査で採集された標本は、国立科学博物館を中心に多くの専門研究者によって順次分類学的な研究が進められている。このなかには、キムラグモ属のクモのように、日本の動物相と密接に関係するものが多く含まれている。平成10年度もベトナム北部を中心に、季節を変えた調査を行なって資料の充実を計るとともに、ラオスでの調査の可能性を探る予備調査を行ないたい。
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