研究概要 |
本研究は平成9年度から3年計画で実施する予定で,今年はその次年度にあたる. 本年度の調査研究は研究組織全員が参加して,平成10年5月25日-平成10年6月30日までの37日間(柏谷,古木,山口,スミス),8月27日-9月8日までの13日間(加藤)にわたってハワイ諸島のマウイ島とオアフ島で実施された.今年度の現地調査は,標高2800m以上の乾燥溶岩原,900m以上のMeterosiderosを優占種とする常緑自然林,高層湿原,400-800m付近のアカシア,ユーカリ属を主とする二次林,低地のマメ科植物を主とする二次林,海岸の溶岩植生などを中心に行なわれた. これまでに得られた資料は,地衣類約1500点,蘇苔類約1000点,シダ類約200点,海草類約150点である.これらを検討した結果,地衣類では海岸岩上のカラタチゴケ属の種分化が著しいことが確認された.また,ハワイ諸島新産属であるウチキウメノキゴケ属,ニエブラ属をはじめ,マツゲゴケ属の新種も発見された.シダ類では,カウアイ島の滝の水しぶきをかぶるコケの間に生えているオオシケシダ属の1種が形態比較と分子系統解析の結果から新種であることが確認された.苔類についてはケゼニゴケに形態的にも遺伝的にも2型があって住み分けていることが明らかになったが,さらに形態学的及び分子系統学的見地からの分析を継続中である.
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