研究課題/領域番号 |
09041174
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
柏崎 浩 産業医科大学, 産業保健学部, 教授 (60004735)
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研究分担者 |
COWARD WA 英国MRC, ダン栄養研究所, 質量分析部長
ORIAS Jose ボリビア国家警察病院, 院長
上西 一弘 女子栄養大学, 栄養学部, 助手 (40232764)
小林 敏生 東京商船大学, 保健管理センター, 助教授 (20251069)
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キーワード | 安定同位体二重標識水 / エネルギー・バランス / アイマラ村落 / 季節性 / ボリビア・アンデス / エネルギー・資源の限られた生態系 / 農牧畜社会 |
研究概要 |
今年度の現地調査は、ボリビア・アンデス高地のアイマラ村落において安定同位体による二重標識水を用いたエネルギー・バランス調査・分析を継続実施し、前回調査(平成2年度)との比較に重点をおくこととした。前回調査が12月から1月にかけての比較的温暖湿潤期であったことを考慮し、今回は対照的な季節(寒冷・乾燥期)である8月に現地調査を実施し、対象者も同一とした。エネルギー・物質資源ともに希少な生態系で暮らす人々は性・年齢による分業を主体とする行動様式で集団全体でのエネルギー消費量を最小にして対処・適応してきたとするのがアンデス農牧蓄社会における観察に基づく重要な定説となっていた。ペル-・アンデスでの観察や古典的酸素消費量測定によるエネルギー消費量推定値から推測された仮説であるが、生活活動閑期に実施した前回調査で得られた結果は、従来の知見から予測されるエネルギー消費量よりきわめて高いものであり、定説の再考を示唆するものであった。特に重要な知見は、相対的に生活活動閑期とはいえ、家畜の管理・世話など生存を支える必須活動に消費されるエネルギー量が予想外に高いこと、さらに年齢・性にによる明確な分業が認められないことであった。今回の調査は農地管理の開始など生活活動繁期を迎えた時期にあたり、エネルギー・バランスに関する新しい知見が得られるものと期待できる。現地調査では、約20人に二重標識水を投与し、早朝尿をそれぞれ2週間分収集した。床サンプルは、ただちに研究分担者であるWA Cowardの所属する英国Dunn Nutrition Centre(Cambridge)に送り、マス・スペクトロメーターによる分析が平成10年2月上旬に完了した段階である。
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