研究課題
アジアにおける骨粗髭症と骨粗髭症関連骨折との関係が欧米と異なるという現象が、生活様式や食文化を含む生活環境が様々に異なるアジア地域全体に共通にみられる現象か、あるいは特定の環境にのみみられる現象かを明らかにすることが本研究の目的である。日本、香港、シンガポール、パキスタンの大腿骨頚部骨折患者について、年齢、生活環境、受傷機序、受傷場所、骨折の型、受傷前の歩行能力、骨粗髭の程度について調査した。一年間に各国の病院で大腿骨頚部骨折に対する治療を行った日本94例、香港101例、シンガポール125例、パキスタン100例、計420例について解析した。平均年齢はパキスタンが50歳台と低く、日本が香港、シンガポールに比べ3-4年高齢で平均80歳であった。身長・体重は香港・シンガポール・日本の順に高く、BMIは日本が低かった。受傷前の歩行能力は各国で差がなく6割が独歩可能であった。患者のうち約3割は老人施設に入所していた患者であった。同居者はシンガポールが平均6人と多く、他は2人前後であった。トイレは香港で約半分が和式のほかはほとんど洋式であった。週あたり牛乳摂取日数は香港と日本が約2日、シンガポールが1日であった。週あたり魚摂取日数は香港が4日と多かった。週あたり肉類摂取日数も香港が4日と多かった。週あたり野菜摂取日数は香港・日本・シンガポールの順に多かった。アルコールは香港で連日摂取が約4分の1と多かった。喫煙率は約2割であった。受傷機序は室内での転倒が多く、各国とも同様の傾向であった。骨粗髭の程度は、外側骨折に比べ内側骨折の方がより骨粗髭症が高度で、日本が香港よりも骨粗髭症が高度であった。
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