研究課題
国際学術研究
平成10年度は、平成9年度に引き続き分子生物学的手法(アシジオテンシン変換酵素遺伝子多型の検出)を用いて遺伝学的特性を比較検討し、食塩感受性に関する研究を行った。また、平成10年の7〜8月と9〜10月の2回現地調査を行った。調査地は、ネパールの自給自足的なKotyang村とMahadavstan村であった。現地調査の目的は、食塩感受性に関する補充調査を行うとともに、(1)血圧の季節変動と血圧に影響を及ぼす日常生活における身体活動量および栄養素等摂取量の季節変動などとの関わりを明らかにすること、(2)Mahadavstan村における高血圧に関する調査を実施すること、(3)マラリア抵抗因子および発展途上国では重要な問題である寄生虫学的調査を実施することであった。平成10年7〜8月の調査では、Kotyang村住民の約280名について血圧、血液学・血液生化学的データ、形態・体力データおよび栄養学的データを得た。また9〜10月の調査では、Kotyang村住民の約240名、Mahadavstan村住民約180名から7〜8月と同様なデータとマラリア抵抗因子および寄生虫に関するデータを得た。現地で得られた血液データは、国内に持ち帰り、それぞれの詳しい分析を実施しているところである。また他のデータはコンピュータに入力し、解析を行っている。なお、平成10年9月には共同研究者であるネパールのG.P.Acharya教授を日本に招へいし、ネパールおよび両調査地の民族学的背景や医学的データの季節・民族学的差異に関する研究討議を行った。また同教授を筆頭演者としてこれまでの成果を広島で開催された第21回日本高血圧学会国際セッションにおいて発表した。
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