研究課題/領域番号 |
09041193
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
木村 英作 愛知医科大学, 医学部, 教授 (70153187)
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研究分担者 |
WEERASOORIYA ルフナ大学, 医学部, 助教授
藤巻 康教 長崎大学, 熱帯医学研究所, 講師 (10209083)
伊藤 誠 愛知医科大学, 医学部, 助教授 (90137117)
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キーワード | バンクロフト糸状虫 / ジエチルカルバマジン / ネッタイイエカ / 循環抗原 / ELISA / 尿 / スリランカ |
研究概要 |
スリランカ南部のマータラ地区において、糸状虫症の疫学と対策に関する共同研究を、ルフナ大学(ゴール市)と行っており、以下の結果をえた。1. 糸状虫症の免疫診断に用いられるいくつかの方法は、感度、特異性ともに高く実用性に富むものであるが、欠点は血液を採取しなければならない点である。とくに発展途上国において野外調査を実施する場合、血液採取は大きな障害である。そこで我々は、血液の変わりに患者の尿を用いて免疫診断をすることを考え、これまでさまざまな検討を行ってきた。その結果、ほぼ実用に耐え得るELISA法を開発することができた。この方法でスリランカの糸状虫感染者の尿を検査したところ、感度はほぼ100%であった。さらに、糸状虫症は存在しないが、それ以外の寄生虫症が蔓延しているラオスやタイ北東部の尿サンプルを用いた実験では、ほぼ100%の特異性を得た。この方法はイヌの糸状虫と交差反応がある可能性を否定できないために現在さらに検討中である。さらに実際の野外調査に応用してみることが是非必要である。尿が血液の代用となるならば、今後の疫学調査に大きな進展をもたらすと期待される。2. アルペンダゾール、イベルメクチン、ジエチルカルバマジンを用いた治療実験が継続されている。過去1年以上にわたる観察で、アルペンダゾールとイベルメクチンの併用療法は極めて有効であることが示唆されている。3. ネッタイ イエカ(糸状虫の媒介蚊)の伝搬効率に関する吸血実験が行われた。4. 地理情報システムを利用した、糸状虫流行地のマッピングに関する予備調査が行われた。
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